和歌山大会6連覇を狙った智弁和歌山が初戦で高野山に敗れる大波乱があった。7回に連続押し出しなどで逆転され、自慢の打線も4安打に封じられた。21年夏に続く全国制覇を目指した強豪があっけなく大会を去った。

  ◇  ◇  ◇

砂ぼこりが舞うグラウンドで、智弁和歌山ナインは下を向いて黙り込むしかなかった。

21年夏の甲子園を制した全国的な強豪校。夏は和歌山大会5連覇中(20年独自大会を含めれば6連覇)だ。初戦敗退は01年夏に和歌山工に負けて以来22年ぶりで、涙の記録を塗り替えることとなった。

初回に浜口凌輔外野手(3年)の右犠飛で先制。5回には暴投の間に追加点を奪った。だが2-0で迎えた7回表、適時打で1点差に迫られた後、なおも1死一、三塁で中継ぎ登板した清水風太投手(3年)の制球が乱れた。2死満塁から押し出し四球で同点とされ、さらに押し出し死球で勝ち越し点を献上。清水は「今日の結果がすべて。自分の実力不足だった」と目を赤く腫らした。

5番の中塚遥翔内野手(3年)をはじめ、自慢の強力打線も打たせて取る高野山の先発右腕、酒井爽投手(2年)を攻略できず4安打どまり。劣勢をはね返せなかった。ゲームセットが近づくにつれ表情が硬くなっていった選手たちは、試合後ロッカールームに戻って涙が止まらなかった。中谷仁監督(44)は「すべて自分の責任です」と厳しい表情で繰り返した。

スタンドには総勢800人近くの学生と教員が駆けつけていた。息のそろった応援歌はその場で聞きながら学ぶもの。この日は林間・臨海学校のため応援に参加しなかった智弁和歌山中学校1年生は応援歌を覚えることさえできなかった。

主将の青山達史内野手(3年)は「結果を出せず、支えてくれた方々に申し訳ない」と肩を落とした。王者の自覚がありすぎたのか。甲子園を見据えていたナインにとって、あまりにも短い夏となった。【松野奈音】

【高校野球 各地のスコア・日程】