“エンジョイ野球”の共栄学園(東東京)が、劇的な逆転サヨナラ勝ちを引き寄せた。同校史上初の決勝進出を決めた。

あと1アウトから粘った。2-4で迎えた9回2死一、二塁、横田優生内野手(3年)の中前打で1点を返し3-4。2死二、三塁となり、今大会初打席の斉藤開心外野手(3年)は変化球を三塁へ高々と打ち上げた。それでも一塁へ必死に走った斉藤は、背中から大歓声を聞いた。相手三塁手が捕球できず、内野安打になった間に二塁走者の横田も生還し、2点を挙げて逆転サヨナラ勝ち。12年からチームを率いる浦和学院OBの原田健輔監督(37)は、涙が止まらなかった。「言葉にできないです。3年生の積み重ねの成果、それのみです。いまだに勝ったのかどうか…」と声を震わせた。斉藤は「終わったと思いました。歓声で気づきました」と笑顔で明かした。

昨秋の東京大会はブロック予選の初戦で堀越に0-2で敗れ、本大会に出場できず。そこからチームを立て直し、春は16強でシードを獲得。今夏は帝京や関東第一が敗退する中で、シード校として決勝進出を決めた。チームの目標は勝利ではなく「見ている人に、笑顔や勇気、感動を与えること」。スタンドの盛り上がりが、何よりの活力だ。原田監督は「ウチの目標を達成したい」と決勝を見据えていた。