大阪桐蔭の世代NO・1左腕・前田悠伍投手(3年)の最後の夏は大阪・舞洲で終わった。ないまぜの感情を胸にベンチを出た。

投げ負けた相手エース福田を笑顔で祝福。泣き崩れる仲間たちには肩を抱き「ありがとう」と言った。8回3失点。エースとして勝たせることはできなかったが、主将の務めをまっとうした。

4強入りしたセンバツ後は6月中旬まで実戦を離れ、コンディション調整に専念。今大会で投げたのは4回戦の1度だけ。実戦不足は否めなかった。序盤、得意球のチェンジアップのブレーキが悪く、バットに当てられた。2回に内野ゴロで1失点。4回は3安打で2失点した。6回の打席前、西谷浩一監督(53)に「前田に任せたからな」と伝えられた。代打はない。最後までいけ-。強いメッセージを受け取り、本来の姿を取り戻していったが、もう遅かった。大エースは「悔しいの一言です」と唇をかんだ。

「いろいろな舞台を経験させてもらい、主将もやらせてもらった。中身の濃い高校野球でした。技術も気持ちの面でも成長できた。いいときも悪いときもあり、うまくいかないことの方が多かったです」。

2年春にセンバツ優勝。「ドラフト1位当確」とも言われる評価だったが、最上級生になってからは細かい故障も続き、ベストを出せずに悩む日々だった。今秋のドラフトの目玉になるのは確実。注目を浴び続けた左腕は「上に向けてやっていきたいです」と短く言った。【柏原誠】

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