世代最速右腕と高校通算最多本塁打の強打者との対決は、仙台育英の最速153キロを誇る湯田統真投手(3年)に軍配が上がった。

高校通算140本塁打の花巻東、佐々木麟太郎内野手(3年)への第1打席、湯田は初球に110キロのカーブを選択した。

「尾形(樹人捕手、3年)が出した通り。自分も投げるつもりでいた」

意図がしっかり合い、初球でストライクを奪うと、2球目は147キロの直球を投じた。

「2球目のストレートが合ってなかったので、『打たれないかな』と感じた」

初球以降の7球は、直球を続けた。「警戒すべきバッターに打たれると、球場の雰囲気や相手チームが活発になってしまう。そういう要所のバッターを抑え込むことが一番大事」。4球目以降は外角低めに集め、5球目には今大会最速の151キロをマーク。最後は外角低め149キロの直球で投ゴロに仕留めた。真っ向勝負を挑み、球威で押し切った。

佐々木麟との2度目の対決では一転、変化球をうまく織り交ぜた。「1打席目ストレートで押したことで、ストレートを張っていたと思う。ストレートを意識してくれたので他の球種が生きた」。初球は高めに147キロ直球。1打席目に続いてさらに直球を意識させたうえで、2球目は104キロのカーブをやや内角に決めた。カウント1-1からの3球目は内角高めに146キロの直球を投げ込み、空振りを奪った。緩急を生かして追い込むと、4、5球目はチェンジアップ。フォークと見間違えるほど落差のある球種で空振り三振に切って取った。「今日のチェンジアップはストレートに近く見せたかったので、少し挟みを浅くしました」。佐々木麟の反応に合わせて握りを変更するなど、クレバーな投球が光った。

いつか再対決を-。佐々木麟との対決を終えると「警戒してたんで抑えることができてよかったです」と胸をなで下ろし、続けた。「後々、上のステージとかで対戦することになるかもしれない。楽しみにしています」。いつの日か必ず、次のステージで再び相まみえる。【濱本神威】