秋季高校野球新潟県大会が7日に開幕する。来春のセンバツにつながる10月の北信越大会への出場3校の座を争う。春、夏合わせて7度の甲子園出場を誇る古豪・新発田農に復活の兆しが見えてきた。キーマンは入学直後の今春から4番に座る1年生、池上健太捕手だ。9日の初戦2回戦で村上と対戦する。持ち前の長打でチームをセンバツに向かう“軌道”に乗せる。

   ◇   ◇   ◇

池上は秋季新潟県大会で目指す数字を挙げた。「打率6割以上、本塁打は最低1本は打つ」。チームの目標は「県大会で優勝して、北信越、センバツにつなげる」。掲げた目標は自身に課したノルマでもある。

豪快なスイングが持ち味で、1年生ながら不動の4番だ。皆川浩一監督(63)は「野球IQが高い。長打力も集中力もある」と言う。夏休みに県の農業高校で行っている「農高リーグ」で3試合で3本塁打をマーク。左肘が上がり気味だったフォームを修正し、リラックスして構えることでバットの出方をスムーズにした。池上は「詰まっても前に飛ばせる」と手応えをつかんだ。

高校デビューとなった春季県大会、初戦2回戦の新発田戦(9-0、7回コールド勝ち)でいきなり4番に入り、4打数3安打を放った。夏の新潟大会2回戦の帝京長岡戦(2-10、7回コールド負け)では左翼に公式戦初本塁打の2ランを放った。自校での打撃練習で右翼場外にある民家の屋根に打球を当てたこともある。推定飛距離は130メートル。並外れた長打力は県内屈指と評価が高い。

神奈川から新潟にやってきた。「最初は慣れなかったけど、今は部活も学校も楽しい」と言う。下宿の自室でよく見るのはヤクルト村上宗隆と元ソフトバンクの松中信彦氏の動画。「バットの出し方が参考になる」。実力アップへの意識は高い。

新発田農は春夏計7度の甲子園出場を誇る。ただ、ここ数年は部員不足に悩まされ、今年の春季大会の新発田戦が21年の春季大会以来の初戦突破だった。今夏は1年生7人がスタメンに入った。若いチームが自信をつけてきた。「高い目標を持ってやる」。古豪復活と、センバツへの挑戦。池上はやりがいを感じて、秋に臨む。【斎藤慎一郎】

◆池上健太(いけがみ・けんた)2007年(平19)7月5日生まれ、神奈川県出身。川崎・西生田小3年で野球を始める。西生田中では少年硬式野球の青葉緑東シニアに所属し、2年生の時に日本選手権に出場。憧れのプロ野球選手はヤクルト村上宗隆内野手。183センチ、100キロ。右投げ左打ち。