田辺が智弁和歌山に逆転勝ちし、52年ぶりの秋の近畿大会出場を決めた。

勢いが止まらない。0-2の7回、押し出し四球で1点を返し、なお1死満塁から4番の山本陣世内野手(2年)がスライダーをすくい上げた。左翼に高々と打ち上がった飛球を見失っていたが、塁審のジェスチャーで柵越えを認識。田辺の選手たちが小躍りしながら、次々と本塁にかえってきた。

「野球センス抜群」とほれ込む田中格監督(51)から「頼むよ」と送り出され、満点回答を出した。

「みんなが四球でつないでくれて、自分に回そうと言ってくれた。しっかり走者をかえそうと思いました。泳がされましたが『入れ、入れ』と思いながら走りました。新人戦のときから智弁を目標にしてやってきた。邦右が抑えてくれたので、守備から流れが作れたのかなと思います」

山本陣は2失点完投のエース寺西邦右投手(2年)をたたえ、会心の笑顔を見せた。準々決勝の市和歌山戦でも本塁打を放ち、9-2のコールド勝ちに貢献。頼れる主砲を軸に、県内の「2強」に打ち勝って堂々の代表切符をつかんだ。

最後の秋季近畿大会出場は半世紀以上も前。夏は95年に出ているが、センバツは79年が最後だ。

同監督は「智弁さんとは選手のレベルが全然違う。でも(3回戦で)高野山のいい投手を打てて、能力のいい選手が相手でも立ち向かっていけるぞとなった」と成長に目を細めた。2週連続大物食いの勢いで、センバツまで突き進む。