青森山田を支える中軸が「神宮優勝」のカギを握る。

秋季東北大会を制した青森山田が17日、星稜(石川)との初戦を迎える。目標の優勝達成には、東北大会チームトップの6打点を挙げた4番原田純希(あつき)内野手(2年)をはじめ、守備が持ち味の3番對馬(つしま)陸翔外野手(2年)、勝負強い5番蝦名翔人内野手(1年)ら、中軸の奮起が不可欠。全国の頂点に向け、3人が躍動を誓った。【取材・構成=濱本神威】

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原田は、東北大会初戦の羽黒戦は6打数1安打。チャンスをものにできず、試合は延長13回、9-8の辛勝だった。「三振したり決めきれなかったり…悔しかったです」。

「自分が打てなくて、13回まで長引いた。次からは絶対自分が打って、チームを勝たせられたらと思いました」。決意新たに臨んだ準々決勝・鶴岡東戦は初回、先制適時二塁打。5回に右越え三塁打と2得点に絡む活躍。続く準決勝・一関学院戦では2安打3打点の大暴れ。決勝でも1安打2打点を挙げ、6打点の完全復活。準々決勝以降の先制点はすべて初回、原田の一振りから生まれた。「初回に1、2、3番がチャンスをつくってくれて、そのランナーを初回にかえすことができたことはよかった。ホッとしました」。4番としての役割を十二分に果たした。

大事にしているのは「相手に威圧感を与えること」だ。「対戦していて『嫌だな』と思われるバッターを目指しています」。初球のストライクを見逃すなど、まだまだ消極的だが、神宮ではファーストストライクから積極的に振る覚悟だ。

原田は「目標は優勝」と言い切った。「まず、振り負けないように。みんなで、先制して良い雰囲気をつくって、1戦1戦勝てたら」。各地区の好投手に威圧感を与え、積極的な一振りでチームを助ける。

○…對馬は東北大会はわずか1安打。それも、三塁内野安打。「あまりちゃんとしたヒットではなかった」と苦笑い。だが「打てない中でも、他の部分でどうやってチームのために貢献できるかを考えた」と、持ち味の守備や犠打など、できることを徹底。東北大会では、左中間の深い当たりをキャッチするなど、広い守備範囲で何度もチームを救った。

對馬は東北大会の不調の原因を「不安や迷いがあったり、『3番として打たないといけない』と考え過ぎてしまった」と分析。「もっとポジティブに考えないと」と気持ちを切り替えた。神宮では「東北NO・1を取ったので、自信を持って、恐れることなくのびのびとプレーしたい」。東北優勝校の誇りを胸にポジティブに立ち向かう。

○…蝦名は、東北大会では吉川勇大内野手(2年)の代役として全試合に遊撃手で先発出場。初戦の羽黒戦では自身公式戦2本目のソロ本塁打、準々決勝・鶴岡東戦では2安打1打点で勝利に貢献した。中学時代は青森山田リトルシニアで全国2連覇を経験。「中学校に比べて振る力がついた。打球の速さも少し上がりました」。高校でも一定の手応えを感じたが、準決勝以降は無安打。神宮に向けて、「自己バッティングではなく、チームのためになる1本を打ちたいです」。チームバッティングに徹し、先輩たちを支える。