京都外大西に18年ぶり7度目の吉報が届いた。

昨秋の近畿大会で準優勝。決勝では大阪桐蔭と1-2の接戦を演じた。「当確」状態だったが、久しぶりのセンバツとあって緊張の面持ちで発表を待った。近畿2校目で校名を呼ばれると、ホールに集まっていた選手は喜びの声を上げ、笑顔で拍手した。

同校の主将として、甲子園で選手宣誓の経験がある上羽功晃(うえば・たかあき)監督(54)は「長く時間がかかってしまって、正直、喜び方を忘れています。みなさんの力が奇跡みたいな流れになって、いい結果をつかむことができました」と感無量だった。

甲子園に臨むにあたり、大きなホールの壇上会見でアピールしたのは「校歌」の魅力だった。母校愛にあふれる指揮官は最近は校歌を歌う機会が減り、歌詞の意味を深く考えない生徒が多いと感じているという。

「京都外大西の校歌がものすごくいいんです。全校生徒が校歌を覚えられるくらい、たくさんアルプススタンドで歌ってもらいたい。僕らは球場の中で歌いたい」と強調した。

ただ1つ大きな問題? があった。上羽監督は「実は…(好きな)校歌は4番なんですよ」と切り出すと、保護者や選手から笑いが起きた。

野球部のグラウンドは、西山の頂上を切り開いた高所にある。京都市を一望できる眺めが特長だ。

「4番の歌詞に『西山に日はかげろえど旦(あした)また比叡の嶺(ね)染むる朝明の光り』とあって。グラウンドにいて、朝は比叡山から太陽が出てくるわけですよ。それを見ながら練習に行ったり、帰ったりがすごく好きなんですけども。やっぱり京都にある学校なので、そういう四季、自然を感じながら、生徒が聞いてくれたらと」

甲子園で流れる校歌は通例は1番だけ。学校関係者は、4番の情緒あふれる歌詞の良さを認めながら「4番を流す予定はありません…。1番になると思います」と苦笑いした。

もちろん1番の歌詞も美しく、京都のシンボルともいえる「鴨川」から始まる。

「鴨川の流れってずっと変わってないんやと。変わらないことも大事にしましょうとか、歌詞に含まれているものを生徒にも分かってもらいたい。うちの高校が強かった時はみんなが知っていたのでね」

言い替えれば、常勝軍団復興への再スタートとなるセンバツ。校歌にこだわる監督の意図を理解したか、隣りにいた乾光葵(みつき)捕手(2年)の表情も引き締まった。【柏原誠】

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