<センバツ高校野球:山梨学院7-1京都外大西>◇20日◇1回戦

センバツが100年を迎えた。敗れて甲子園を後にする敗者には、今夏の甲子園へとつながっていくドラマがある。「涙は夏のため~新しい夢のため~」と題し、さまざまな角度から敗れたチームの物語を紡ぐ。

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雨に打たれ、強風にあおられながら、最後は堂々の立ち振る舞いを見せた。京都外大西のエース左腕、田中遥音(はると=3年)は、昨年優勝校を相手に137球の熱投も7失点完投負け。「7失点という結果で、自分のふがいなさに気づきました」とうなだれた。

「立ち姿を見てほしい」 センバツ出場が決まった際、エースの覚悟を口にした。田中はソフトバンク前田悠の大ファン。1月には自ら「前田マニア」と公言し「立ち姿、マウンドさばきが一番好きです」と話していた。この日憧れの舞台に立ち「同じマウンドで投げられたのはシンプルにすごくうれしかったです」と喜んだ。

この日は主将のひと言で、薄れかけていた気持ちを奮い起こした。6点ビハインドの8回、無死一、二塁のピンチで乾光葵(みつき)主将(3年)が伝令でマウンドへ。「立ち姿見せてこい!」。そこから「意識できた」と上位打線を完璧に抑え、無失点に封じた。「今後は初回からできるようにしたい」と誓う。「夏にもう1回この舞台に戻ってきて、山梨学院を倒すことが目標です」。強くなって、聖地へ必ず帰ってくる。【古財稜明】

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