「(自分たちの)前評判はいらないです」。大会前、桐蔭学園の片桐健一監督(50)は今夏へ意気込みを語っていた。淡々と優勝を目指し、この日は昨夏日本一に輝いたチームを倒した。

先発したエースの杉本は「慶応戦は自分で行くと決まっていた。絶対勝ちたかった」と強い決意でマウンドへ。「トレーニングも全てフォームのために費やしてます」とこだわるアンダースロー。制球力に磨きをかけるべく、片足でのスクワットなど下半身を鍛え上げ、今夏へ備えた。

それでも試合ではアクシデントに見舞われた。梅雨明けが宣言され、30度を超える真夏の暑さの中での試合に「5回から足がつりながら投げてました」。気力で投げ続けたが、8回に同点に追いつかれ、なお2死満塁のピンチ。10安打を浴びながら2失点、108球の熱投で「一番信頼する投手」とエースが託す主将の中村へつないだ。

「ピンチでも思い切って投げられるのが自分の強み」と前向きな主将は点を与えず、次のイニングへの勝ち越しへつなげた。

「主将が常に明るくまとめてくれたおかげだと思います」。片桐監督はその性格から大役に指名した。「明るいのは大阪出身だからですかね」と受け止める中村が掲げた方針はポジティブ野球。1球1球に前向きな声がけを忘れず、攻守交代時にはベンチから勢いよく飛び出しチームメートをたたえた。そうした雰囲気で自分たちの流れを生み出し王者超えへつながった。 もちろん目指すは優勝。そして「僕らの代から甲子園にという伝統を作ります」と力強く語った。神奈川でエンジョイ・ベースボールを倒した次は、ポジティブ野球を全国区へ。25年ぶりの夏の聖地へ。快進撃はここから始まる。【深田雄智】

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