<高校野球・秋季東北大会:一関学院3-2利府>◇4日目◇13日◇名取スポーツパーク愛島球場◇準決勝

 一関学院(岩手)が来春センバツ出場を当確にした。一関学院は延長14回の激闘の末、3-2で利府(宮城)を破った。東北地区から2校が出場する09年センバツ。出場校は、来年1月下旬に開かれる日本高野連による選考委員会で正式決定する。

 大砲不在の小粒軍団が、一関学院の歴史を塗り替えた。延長14回裏2死二塁。7番吉家(きっか)勇希主将(2年)が遊ゴロを放つと、西日の影響で送球を受けた相手一塁手が落球。その間に二塁走者が決勝のホームを陥れた(記録は遊安と遊失)。2時間49分の死闘をサヨナラ勝ちで飾り、ナインは何度も跳びはねて喜びを分かち合った。吉家は「詰まったけど、三遊間の深いところに打てた」と満足げだった。

 2年連続3度目のセンバツ出場を確実にしたが、06年と今春の過去2回は守備力が評価される「希望枠」だった。この希望枠が今春限りで廃止後、最初の秋季東北大会で5回目の挑戦でチーム初の決勝進出。「自力」でセンバツ切符を引き寄せ沼田尚志監督(49)は「秋からの新チームは、県大会で勝つのも難しいと思っていた。何か変な気持ちです」と苦笑いした。

 今夏までのチームには長距離砲がいたが、今春のセンバツは初戦敗退。夏の県大会も3回戦で敗れた。打撃力に乏しい新チームは、盗塁やバントを駆使した、つなぐ野球で勝ち進んだ。この日も長打は10安打中1本(二塁打)だけ。犠打5本で走者を進めた。2安打1打点の飯田翔投手(2年)は「僕らはチームプレーに徹している。周りに打たせてもらったんです」と胸を張った。【柴田寛人】