<高校野球静岡大会:伊東商3-2藤枝明誠>◇16日◇1回戦
若い空、若い風…フレッシュな伊東商の校歌が球場にこだました。今大会、最年少の増井裕哉監督(22)率いる伊東商が藤枝明誠を延長12回の末に破った。06年夏に静岡商主将として甲子園に出場した新監督が公式戦初采配で初勝利を挙げた。
試合開始から2時間40分。初回から力投を続ける伊東商のエース長津が12回裏のマウンドへ向かった。12回表に杉山凌外野手(3年)の中前適時打でリードは1点。投球前に「気合を入れるため」と、両足をどっしり開きルーティンにしているストレッチをしてから、打者と対峙(たいじ)した。9回裏に同点打を許している藤枝明誠・松浦康太外野手(3年)を三ゴロに打ち取りリベンジを果たすと、後続もピシャリ。長い熱戦もラストイニングは、3分で締めくくった。
ベンチから選手同様に声を張り上げ、ナインを盛り上げた増井監督は「しびれたし、ドキドキした」と、興奮気味に話した。静岡商時代は夏の甲子園で2回戦進出、静岡大時代は静岡学生リーグベストナインなど、地元学生球界のトップで活躍した名手が「先生」そして「監督」として高校球界に帰ってきた。決勝打を打った杉山凌が「選手のような監督」と話せば、高鳥克弘主将(3年)は「増井先生とは最初で最後の大会。うちは、監督も含めてチーム一丸なんで」と、うれしそうに笑った。球児の年ごろに最も近い監督らしく、心理面のコンディションに配慮したのは勝ち越しに成功した12回表だった。喜び爆発のベンチの片隅にエース長津を呼び寄せ「落ち着いて投げて来い」とささやいた。
試合後、ベンチ前で「静商」ではなく「伊商」の校歌に酔った。「やっぱり夏の校歌は最高ですね。『波メロ』よりも、今は『若空』ですね」。5年前、決勝戦まで、波諧調(メロディー)を奏づれば…と始まる静岡商の校歌を歌った。伊東商校歌は、若い空、若い風…新監督が口にする校歌が、旋風の合図になる。【為田聡史】

