<高校野球静岡大会:韮山3-2常葉学園橘>◇17日◇2回戦
伝統の韮山が「橘時代」に幕を引いた。韮山が逆転で常葉学園橘の3連覇を阻んだ。序盤に2点を先制されながら、事前のデータで攻守において攻略し、7回に同点に追いつくと、8回に尾崎資樹外野手(2年)の勝ち越し本塁打で勝ち越し、シード校の意地を示した。
初球勝負と決めていた。2-2で迎えた8回、尾崎が狙いすました打球は、風に乗って左翼スタンドに飛び込んだ。第5シードの初戦は、3連覇を狙う常葉橘。昨秋は勝っているものの、序盤に先手を取られた。尾崎は「初球に甘めの球がくると、データで出ていた。それでもなかなか初球に手が出なくて、やっと強く振れた」と、興奮を抑えながら説明した。回を追うごとに試合前から練っていた相手の傾向と対策が、土壇場で合致した。
初戦突破を決めた尾崎の1発に、小雀浩一郎監督(39)は「期待していた。今日の風向きなら右打者の尾崎に有利だと思っていた」と冷静に振り返った。パワー不足を補うため、春以降地元のジムで筋力アップに励んだ成果でもあった。尾崎は「打球を見ていたらベースが見えなかった」と、一塁ベースを踏み外しそうになったが、真っ赤なメガホンが揺れる三塁側・韮山応援席の大歓声が、ホームに導いてくれた。
常葉橘の1回戦をスタンドから入念にチェックしたのは分析担当の石塚圭祐(3年)だった。相手投手の初球の甘さや、カウント別の配球、球種を見極めた。それを、ナインは頭にたたき込み、前日には、考え得る勝ちパターンを出し合い勝利へのイメージを高めた。投げては杉山将一(2年)が完投。小雀監督が「打ち勝つ」と宣言した通り、最後に長打で決着をつけた。
石塚はこの日も次戦の清水西戦(21日)に備え、富士球場にいた。影の立役者はいつもナインのそばにいない。だが、佐藤拳士主将(3年)は「頑張ってくれているあいつ(石塚)のためにも負けられない。いつも試合にいないけど、優勝すれば最後は一緒に喜べる」。この気持ちを胸に、甲子園まで駆け上がる。【栗田成芳】

