<高校野球宮城大会:石巻工7-6石巻西>◇18日◇3回戦

 石巻工が石巻西を破り、2年ぶりの16強進出を決めた。津波被害が甚大だった石巻市の7校のうち唯一、勝ち残った。

 試合終了から30分後、帰り支度をしていた石巻工が、呼び止められた。「絶対に甲子園に行けよ!」。石巻西の阿部俊樹主将(3年)はそう叫び、折り鶴のタペストリーを手渡した。石巻工の黒川慎朔主将(3年)は「石巻の他の学校も頑張ってきた。その思いを受け継いで、応援してくれる人のためにも勝ち続けたい」と、石巻西の思いを確かに受け取った。

 石巻工は津波被害で、グラウンドがヘドロまみれになった。泥かきに追われる毎日。そんな時、手伝いに来てくれたのが、東松島市の石巻西だった。08年夏、09年夏、昨秋地区大会で対戦しており、顔なじみも多い。6月の練習試合は7-7と引き分けた。この日も、9回に3-7から1点差とされた。黒川は「手の内も分かっているし、やりづらかったですよ。仲間なんです。もっと上でやりたかった」と、食らいついてきた石巻西の思いを受け取った。

 石巻商、石巻北、石巻が3回戦で敗れ、石巻市内の出場校で唯一の16強入りとなった。白を基調としたタペストリーには、赤で「希望」。黒川主将は「これをベンチに入れて、絶対に甲子園に行く」と誓った。【今井恵太】