<高校野球宮城大会:登米6-3佐沼>◇22日◇4回戦

 登米が、56年の4強以来55年ぶりの8強入りを決めた。

 これまでの登米とは、ひと味もふた味も違う。6-3の9回2死二、三塁。エース高崎翔大(3年)には、絶対の自信があった。「みんなが後ろにいる。大丈夫」。結果は遊ゴロ。これまでになかった信頼関係が、半世紀以上遠ざかっていた8強を引き寄せた。

 昨夏の3年生は3人。佐藤克行監督(33)が「15番以降は(使っていないため)背番号がきれい」と嘆くほどの部員不足に悩まされていた。だが、今年は3年生が12人。熊谷亮太捕手(3年)は「休みに映画を見に行ったり、いつも一緒にいる」。高崎の自宅でバーベキューをするなど、団結力を深めてきた。

 「仲間」から学んだ打撃力も、原動力になっている。震災の影響で、志津川の3年生が登米で授業を受けており、週に3回は練習をともにした。高崎は志津川の打撃に刺激を受け、2回戦では昨夏準Vの気仙沼向洋に打ち勝った。年末年始には、年賀状配達のアルバイト。自転車で雪道を走って脚力を鍛え、遠征費を稼いだ。熊谷は「打撃にも生きているかな」と笑った。

 今日23日の準々決勝は、2回戦で志津川が敗れた東北と戦う。仲間のためにも、「登米旋風」を止めるわけにはいかない。【今井恵太】