<高校野球福岡大会:朝倉光陽3-1三池工>◇8日◇1回戦◇春日

 65年夏に全国制覇の三池工(福岡)は朝倉光陽に惜敗。5月に死去した元監督の故原貢氏(享年79)へ、勝利を届けられなかった。

 伝統校の三池工は故原氏に勝利を届けられず初戦で散った。決定機に適時打が出ず12残塁。3点をリードされた8回に1点を返すのがやっとだった。

 選手は縁起物とされる月桂(げっけい)冠をベンチに飾り、月桂樹の葉をユニホームのポケットにしのばせていた。65年の優勝パレードの際、ファンが投げ込んだ月桂樹の苗が同校に記念樹として植樹されており、大きく育った緑葉をお守りにした。選手は6月上旬、同校に設置された原氏の献花台に黙とうをささげ、活躍を誓っていただけに悔やまれる敗戦だ。試合後、誰もがひと目をはばからず泣きじゃくった。それでも主将の友清誠人内野手(3年)は「(全国制覇で)野球部や学校に誇りを持てた。来年、後輩に頑張ってほしい」と胸を張った。

 原氏の死去は、当時全国優勝を経験したOBらが優勝から50周年を迎える来年へ向けた企画を考案中の訃報だったという。試合を見守った猿渡博司校長(56)は「雰囲気にのまれていたのかもしれない。まだ頑張れという原さんのメッセージなのでしょう」。大きな希望と夢を与えた原氏の功績だった。