<高校野球宮城大会:仙台三3-1東陵>◇8日◇2回戦◇仙台市民

 昨年ベスト4の仙台三が好スタートを切った。最速140キロの右腕中村希生(3年)が今春のセンバツに出場した東陵相手に7安打1失点完投。打線も好機を確実に生かして快勝した。

 頭脳的な配球だった。仙台三の本格派中村が奪った三振はわずか3つ。力だけに頼らず打たせて取って、2季連続の甲子園を狙う難敵を最少失点に抑えた。「低めに集めて内野ゴロを打たせよう心掛けました。でも、0点に抑えようと思っていたのでちょっと悔しい」。中村は笑顔で振り返った。

 中川伝市郎捕手(3年)とは富沢中時代からバッテリーを組む。気心が通じている2人は昨春の東北大会に出場し、夏のベスト4進出に貢献。最上級生になった今年は「ボール球を振らせて打たせて取る投球」で勝負する。冬場は地面と平行に直球を投げ込める限界ぎりぎりの約40メートルの距離で投球練習。昨年から5キロアップの140キロまで伸ばし、変化球を生かす球威と内角を突く制球力を磨いた。

 春の県大会準々決勝で東北に敗れ、今大会はノーシード。だが選手たちは「強いチームと当たって、そこからはい上がろう」と集中力を高めて試合に臨んだ。佐々木久善監督(48)も「いつも通りに持ち味を出し切った。褒めてやりたい」と表情を崩した。中村は「去年から経験させてもらっていることを生かしてチームに貢献したい」と上位へ右腕を振り続ける。【佐々木雄高】