<高校野球福岡大会:筑陽学園8-1星琳>◇20日◇5回戦◇筑豊緑地

 シード筑陽学園が7回コールドで星琳を下し8強に進んだ。6番の井上健太三塁手(3年)が、3ランを含む4安打5打点の大暴れ。中学で同じクラブに所属した今秋ドラフト候補の西日本短大付・小野郁(ふみや)投手(3年)の活躍に触発され、09年夏の福岡大会決勝で敗れた同校OBの兄雄太さん(23)の無念を晴らす思いだ。

 筑陽学園の井上が、ライバルに負けじと気を吐いた。0-0で迎えた6回。2死二、三塁で内角寄りの真ん中の直球を「上から思いきりひっぱたいた」と、公式戦で初めてバックスクリーンにたたき込んだ。それまで緩急を使って好投を続けた星琳のエース中村伊吹投手(2年)を意気消沈させる3ランだった。さらに7回2死一、三塁では、中前打を放ち7回コールド勝ちを演出。江口祐司監督(52)が「思いきりがある」と評す勝負強さで、4安打5打点と大暴れした。

 ライバルと意識する西日本短大付の小野とは、中学時代、同じ硬式の久留米明球ボーイズ(現久留米中央ボーイズ)に所属し、切磋琢磨(せっさたくま)した仲。井上は試合に集中するため、今大会中の連絡はとっていない。だがオフは同じ出身地の久留米市で遊ぶなど、いまだ親交があるという。中学を卒業する際、お互いに甲子園出場を目指そうと誓いあったという。大会に臨むにあたり「あいつには負けたくない」と発奮していた。

 兄の悔しさも忘れていない。09年夏の福岡県大会決勝で九州国際大付に敗れた兄雄太さんの思いに応える意味もある。雄太さんはエースで4番だったが、大会前に右手を骨折。背番号「13」で大会に臨んだが、出場は代打の2打席だけだった。兄から「甲子園に行って親孝行してくれ」と言われた。互いに勝ち進めば、準決勝で西日本短大付と対戦。「チーム一丸となって全力で戦う」と気合を込めた。【菊川光一】

 ◆井上健太(いのうえ・けんた)1997年(平9)1月13日、福岡県久留米市生まれ。野球は小4から西国分ウエストナインズで始める。諏訪中では硬式の久留米明球ボーイズ(現久留米中央ボーイズ)に所属。筑陽学園では2年秋から三塁手でレギュラー。昨秋から6番を打つ。右投げ右打ち。175センチ、76キロ。血液型A。