東海大相模の「140キロカルテット」に負けじと、盛岡大付には「左腕トリオ」が控える。今日11日開幕する第96回全国高校野球選手権に出場する盛岡大付(岩手)は150キロ右腕の松本裕樹(3年)の他に桜糀大輝、大橋和弥、土井堅斗(ともに3年)とタイプの違う左腕3人がベンチ入り。ノースロー調整の松本と対照的に、3人は大阪入り後、ほぼ毎日投げ込みを続け、甲子園マウンドに備えている。

 開幕を翌日に控え、3人は競うようにブルペンで汗を流した。大橋は50球、桜糀、土井はそれぞれ30球。8日には神奈川大会の決勝、9日には同準決勝の映像を入念にチェックしており、東海大相模の打者は頭に思い浮かぶ状態だ。桜糀は「もっとコントロールを上げていかなければ。甘い球は絶対打たれる」とまだまだ満足していない様子。神奈川タイ記録の11本塁打をマークした打線が相手だけに、必死の調整が続く。

 最速150キロの直球と多彩な変化球を持つ右腕エース松本の先発が濃厚だが、関口清治監督(37)は2日の大阪入り後、左腕3人にほぼ毎日ブルペンで投げさせてきた。「一番いい投手を使いたい。左打者でピンチになった時など、1アウトを取るために使う可能性がある」と、3人を16日の初戦まで競い合わせ、最高の状態に持っていく。

 大橋は1年の秋に肺気胸の手術をし、半年間野球が出来なかった。「全てにおいてレベルが違う」と認める松本からエースを奪うのは難しい。それでも続けてきたのは「左なら(登板の)チャンスがある」という望みがあったからだ。2年冬には、上手からサイドに変え、角度のあるボールを投げる強みを見いだした。「少しでも松本の負担を減らしたい」とエースを助けるつもりだ。スプリットなど変化球を得意とする土井も「日に日に良くなっている。厳しいコースを突きたい」と甲子園マウンドを夢見る。

 春から急成長した3人が控えることで、松本も安心して投げることが出来る。盛岡大付の「左腕3銃士」が、エースを支え、もり立てる。【高場泉穂】

 ◆土井堅斗(どい・けんと)1996年(平8)6月30日、茨城県筑西市生まれ。小4で下館ホワイトイーグルスで野球を始める。下館西中では小山ボーイズに所属。盛岡大付では1年秋からベンチ入り。170センチ、65キロ。左投げ左打ち。家族は両親、兄。

 ◆桜糀大輝(さくらこうじ・だいき)1996年(平8)5月25日、岩手県雫石町生まれ。小2で西山ボーイズで野球を始める。雫石中では軟式野球部に所属。盛岡大付では1年秋からベンチ入り。168センチ、65キロ。左投げ左打ち。家族は母、妹。

 ◆大橋和弥(おおはし・かずや)1996年(平8)4月26日、宮城県仙台市生まれ。小3から中田スポーツ少年団で野球を始める。中田中では仙台東部シニアに所属。盛岡大付では2年春からベンチ入り。175センチ、67キロ。左投げ左打ち。家族は両親、弟3人、妹1人。

 ◆東海大相模の投手陣

 神奈川大会決勝で20奪三振をマークした2年生右腕の吉田凌、エースナンバーをつける右腕青島凌也(3年)、190センチ右腕佐藤雄偉知(3年)、左腕小笠原慎之介(2年)の4投手を擁する。いずれも最速140キロ超で「140キロカルテット」として注目される。