<全国高校野球選手権:山形中央2-0東海大四>◇19日◇2回戦

 敗者の控室で東海大四(南北海道)の高田渉主将(3年)は、号泣する背番号16の今川を笑顔で抱きしめた。「ミスで負けたけど、しょうがないです。攻めた結果なので。(西嶋)亮太はいいピッチングをしてくれていた」。1回戦で14安打を放った打線が一転、山形中央の左右2枚看板をとらえきれずに散発5安打で零敗。6回、ようやく高橋がチーム初ヒットを放ったが、積極的な攻めもかみ合わず、力投するエース西嶋を援護できなかった。

 「何とか試合を決められたらと思っていた」と高田。0-0のまま迎えた9回2死、相手エースが投じた高めの146キロ直球を、右翼線へはじき返した。二塁に到達しサヨナラ機を演出したところで、代走を送られベンチへ退き、勝利だけを信じた。続く西嶋の打球は安打性のピッチャーライナーだったが、相手投手が逆シングルで好捕。運にも、見放された。

 勝利を届けたい人がいた。今年4月に脳梗塞で倒れ、旭川市内の病院に入院中の祖父・末夫さん(82)だ。「甲子園へ連れて行くよ」と約束をしていたが、かなわず、病室のテレビの前でメガホンを持って応援してくれていた。「勝利を届けてあげたかったけど、それができず残念です」と悔しがった。

 グラブには「最高の仲間」と刺しゅうがある。「最後は気持ちも1つになった。今までの野球人生で一番楽しかった。出し切ったつもりです」。負けはしたが、全力でプレーした甲子園での2試合に、表情は晴れやかだった。【中島宙恵】

 ◆夏の南北海道勢の延長戦

 06年の駒大苫小牧が決勝で早実(西東京)と延長15回で引き分けて以来。東海大四は前回出場の93年も3回戦で修徳(東東京)と延長12回を戦い、3-4でサヨナラ負けを喫した。北北海道勢の最新は、12年に旭川工が1回戦で龍谷大平安(京都)に延長11回、8-9でサヨナラ負け。