<高校野球広島大会:広陵12-4呉昭和>◇16日◇2回戦

 優勝候補筆頭の広陵が終盤の大量得点で初戦を突破!

 広島市民球場では昨夏甲子園準優勝の広陵が登場。呉昭和を12-4(8回コールド勝ち)で下し、初陣を飾った。18日からいよいよ3回戦に突入する。

 結果以上に厳しい船出だった。中井哲之監督(46)が大会前に最も警戒した「一発勝負の怖さ」を再認識する初戦となった。森宗順平(3年)前田貴史(3年)中田廉(3年)の“広陵3本柱”に加え、将来のエース福田正義(2年)を擁する投手王国の広陵。前日練習で好調をアピールし、この日の先発を勝ち取ったプロ志望の中田が初回から乱れた。

 複数球団のプロ関係者が見守る中、先頭打者にいきなり死球、次打者に四球と最悪の立ち上がり。2死後、5番梶矢に2点内野安打を許し、一気に逆転。小川監督率いる少数精鋭の呉昭和に、大会屈指の右腕が3回6安打4失点。頭を剃って初戦に臨んだ中田だったが、早々と前田にマウンドを譲った。

 しかし、百戦錬磨の広陵は勝負どころを逃さない。2-4で突入した4回、勝利への執念を一気に噴出。この回先頭の長谷部光(3年)が左翼前打で出塁。続く1番上本崇司(3年)、2番下川克史(3年)が立て続けに絶妙セーフティーバントを決めて無死満塁に。ここで主将の林竜希(3年)が特大犠飛を放ち、二走の上本まで一気に生還した。

 上本のスタートに対する呉昭和側のアピールで試合が約10分間中断したが、協議の結果問題なしとして試合続行。同点に追いついた広陵は6回に勝ち越し、8回に一挙7点を奪い、最後は森宗が締める総力戦で勝利をつかんだ。「あらためて弱さが分かった。夏1勝の重み…。思いが強いほど力を出せないもの」と中井監督。悲願の甲子園夏優勝へ、広陵が一発勝負を制し続ける。【佐藤貴洋】