<高校野球熊本大会:開新3-1熊本工>◇5日◇1回戦

 熊本では熊本工が初戦敗退の番狂わせとなった。

 最後の打者が打ち取られた瞬間、逆転を信じて声をからした一塁側スタンドが静まりかえった。広島の前田智徳ら、多くのプロ野球選手を輩出し、春夏通算38度、甲子園に出場してきた名門“熊工”が開会式直後の開幕試合で姿を消した。初戦敗退は00年の82回大会以来。ナインの涙は止まらなかった。

 1度渡した流れは戻ってこなかった。制球が安定しないエース沼田龍正(3年)が立ち上がりをとらえられ、2回までに2失点。ペースを握られると、打線も4回裏に大迫拓郎(2年)の左前打で1点を返すのがやっと。林幸義監督(61)は「走れるのは1番の二殿(史一=3年)だけ。3人は走れる選手がいないと。その二殿もフル回転できなかった」。昨春のセンバツ4強の原動力となった機動力は今年は影を潜めた。

 夏は04年から06年まで3年連続で甲子園に出場したが、今年は秋、春とも県大会2回戦で敗退。シード権を逃していた。坂田竜徳主将(3年)は「自分たちが県内で一番きつい練習をしてきたと思うし、乗り越えてきた。負けたのは実力です」と唇をかんだ。王座奪還を掲げて臨んだ夏は、あまりにも短かった。