<高校野球静岡大会大会:常葉学園橘8-1浜松市立>◇13日◇2回戦

 2年連続第1シードの春季東海王者・常葉学園橘は、8-1で浜松市立を下して白星発進。

 スコア以上に、第1シード常葉橘は苦しんだ。併殺やバント失敗でリズムをつかめない中、流れを呼び込んだのは2年生エース庄司隼人だ。6回に3連続四死球で1失点し「悪い流れにしちゃった」と話すものの、そのほかは直球と変化球で要所を締めて8回3安打1失点。我慢の投球で、終盤の猛攻を呼び込んだ。

 エースの称号が庄司を「大人」にさせた。昨夏は最速144キロ直球を武器に計15回無失点で、衝撃を与えた。だが今夏は「大人の投球」がテーマ。「エースは勝つ投球をしないと」。秋季東海大会準決勝で常葉菊川に10失点し「がむしゃらさだけではだめ」と悟った。この日は決め球が定まらないと見るや「三振を取るよりも、チームの流れをつくるのが優先」と打たせて取った。女房役の仁藤敬太主将(3年)は「(気持ちの)切り替えも早い。大人になった」と目を細めた。

 今夏、庄司は帽子のつばに「精神一到」と記した。これは第69代横綱白鵬が、横綱昇進の際に用いた言葉で「精神を集中し一心に努力すれば、何事も成就できないことはない」との意味だ。次は昨夏に涙した3回戦。「背番号1の意地がある。長い夏にしたい」(庄司)「去年の二の舞いはしない」(仁藤)。白星発進にも浮かれない常葉橘。甲子園出場まで、集中力は途切れない。【浜本卓也】