<高校野球静岡大会:静岡6-3静岡商>◇14日◇2回戦

 2年ぶりとなった静岡-静岡商の名門対決は、6-3で第5シードの静高に軍配が上がった。3回に8番高橋司投手(2年)が先制打し、5回には4番山崎大輝遊撃手(3年)の本塁打で追加点。投げては高橋が3失点完投と、投打の主役が仕事を果たした。

 名門対決の均衡を破ったのは、意外な男の一打だった。0-0の3回表2死一、二塁。右投げだが左打席に入る静高先発の8番高橋が、先制右前打を放った。「逆方向を狙っていたけど、打球が一、二塁間にいった。あまり(打撃)練習していないので、まぐれです。まさか自分が打つとは思わなかった」。1、2回と満塁の好機を逃し、直前には7番大石新悟捕手(3年)がスクイズ失敗。嫌な流れをひとまず断ち切った。

 主砲の一発で勢いを増した。5回。先頭の4番山崎大輝遊撃手(3年)が、内角直球に体勢を崩しながら、バスターで右翼ポール際に打球を運んだ。「つなぐ気持ちだった。体が回転したら入っちゃった。切れなくてよかった」。大会2日前から、誰に言われるでもなく「トップが取れて、しっかりボールが見られるから」とバスター打法に取り組んできた成果を出した。

 4月に就任した栗林俊輔監督(35)が「自分で考えてやれる」と感心する頭脳派軍団。定期戦では相手先発の鈴木貴博(2年)に完封されたが、敗因を「荒れ球を早打ちしてしまった」と分析していた。チーム一丸となって待球作戦を貫き、鈴木には2回 1/3 で63球を投げさせた。毎回の16安打を浴びせ、06年夏から定期戦を含めて3連敗していたライバル静商に完勝した。

 6回に相手2選手が負傷し、31分間の中断があった。気持ちの切り替えが重要だとは知りながらも、静商・金子遊撃手と友人関係にある山崎、大石らは「大丈夫かな」と心配していた。2年前はライバル対決に勝った静商が32年ぶりに優勝した。3時間36分の熱戦を制した静高ナイン。無念の退場となった友の分も、5年ぶりの甲子園に行くしかない。【斎藤直樹】