<高校野球茨城大会:水戸一9-2常磐大高>◇17日◇3回戦

 県内屈指の進学校、水戸一の「ID野球」がさえた。昨夏準Vの常磐大高に8回コールドの9-2で快勝し、2年連続の4回戦進出を決めた。

 1、2回は6安打、1四球、2失策に5犠打を絡めた攻めで、7点を奪った。ソツのない攻撃だけでない。勝因はデータ分析による堅実な守備にあった。中山顕監督(37)は「相手のポイントになるバッター。研究していた。データがはまった」と、1番益子亘三塁手(3年)を徹底マーク。8-1で迎えた5回表だった。益子が放った三遊間への鋭い当たりを、栗田拓磨遊撃手(3年)が難なく正面でさばく。栗田は「全部引っ張ってくる。三塁寄りに守備をとり、はまった。完勝です」と、益子を遊撃強襲の1安打に抑え、してやったりの表情だ。ネット裏の“精鋭部隊”が打球の飛ぶ方向を分析、収集してきた成果だった。

 秀才軍団にとってデータを集め、分析するのはお手のもの。今春は東大10人、京大4人、東工大7人、東北大32人、早大97人、慶大53人の合格者を出した。今年は創立130周年を迎える伝統校。「1球入魂」という言葉を生み、「学生野球の父」と呼ばれ、野球殿堂入りした飛田穂州(元早大監督)もOB。学力と野球が融合した「ID野球」が躍進を支えている。

 次は第2シード霞ケ浦。27年ぶりのベスト8進出に最大のヤマとなる。