<高校野球大分大会:大分雄城台5-4藤蔭>◇19日◇準決勝

 ノーシード大分雄城台が連続押し出しで9回逆転サヨナラ勝ちした。9年前に決勝で敗れた宿敵・日田林工相手に、初の甲子園を狙う。

 一気に逆転を狙った赤嶺司監督(39)の采配が、ピタリと的中した。連続押し出しでの大分雄城台の逆転サヨナラ勝ちを切り開いたのは、エース新谷拓(3年)のバットだった。1点を追う9回無死一塁から左前にバスターエンドランを決め、無死一、二塁にチャンスを拡大。「雄城台はバントしかないと思われるが、監督からは『勝負の場面』と言われていた」。犠打で1死二、三塁とプレッシャーをかけた相手投手から連続四球で同点。最後は2番秦広樹(2年)の死球で、三塁走者の新谷がサヨナラのホームを踏んだ。

 初戦の2回戦から1人で投げ続ける新谷が、ノーシード大分雄城台躍進の原動力となっている。まずは同点を狙って、犠打が定石な9回の打席での強行策に「(今夏は)新谷がキーになっていた。一気に逆転を狙ったサイン」と、してやったりと言わんばかりだ。継投で勝ち上がった日田林工とは対照的に、25イニングマウンドを守ってきた新谷は「チームや監督が任せてくれている気持ちが伝わってくる。最後まで投げ抜きたい」。初の甲子園がかかるマウンドでも最後まで1人で投げ抜く。