<高校野球南大阪大会:PL学園7-0布施>◇24日◇準々決勝

 南大阪大会ではPL学園の1年生4番・勧野甲輝左翼手(かんの・こうき)が公式戦初先発。8回を2安打完封し、コールド勝ちで甲子園にあと2勝とした。

 「清原2世」は試合に出るたびに話題を作る。2回戦で2打点デビューし、3回戦では救援登板。4回戦で大会1号を放った勧野が、公式戦初先発初完封だ。布施打線を2安打に抑え、4年ぶりの4強入り。打っても1-0の5回2死満塁で左前打し、4試合連続打点。「自分で自分を助ける形が作れればいいなと思っていました」と笑った。

 布施には20年前の夏、88年の第70回大会で先輩たちが敗れた。宮本慎也(ヤクルト)を擁したチームが5回戦で対戦し、4-8で敗退。前年87年は立浪和義(中日)らが全国制覇をなしとげていたが、布施に連覇を阻まれた。当時は生まれていなかった新主砲が先輩のリベンジだ。

 立ち上がりは緊張から制球が定まらなかった。だが先頭打者の安打性の打球を、遊撃・里村翼主将(3年)が好捕。3回も先頭打者の打球を、二塁・築山孝弘(3年)がダイビング・キャッチ。捕手の岸田健人(3年)も的確な助言で支えた。守備陣に応えようと、懸命に119球を投げ、ゼロに抑えた。

 25日に準決勝を戦う羽曳野の4番・麻野一喜中堅手(3年)は、勧野にとって「富田林シニア」の2年先輩だ。南北大阪大会の開会式で再会。「1年生で4番やて」と言う麻野に対し「ベンチを外れられた先輩方がおられます。自分は頑張らないといけないんです」と返した。その責任を忘れたことはない。

 1年前の7月23日、PL学園は50年ぶりに3回戦で敗れた。翌24日から新チームは練習を再開。半世紀ぶりの屈辱から、長く苦しい夏が始まった。そして丸1年となったこの日、4強を決めた。【堀まどか】