<全国高校野球選手権:関東一10-6早実>◇17日◇3回戦

 早実(西東京)のエース鈴木健介投手(3年)の目に涙はなかった。「試合にも、自分の高校野球にも悔いはない。野球の楽しさを甲子園が思い出させてくれた」と敗戦にも充実感をにじませた。

 満足できる投球ではなかった。5回まで8奪三振ながら5失点。6回には左翼に回り、マウンドは後輩の八木に託した。早実では80年の荒木大輔(現ヤクルト投手コーチ)以来となる1年生の夏の甲子園登板で、八木は自己最速141キロの直球で攻めたが4失点。鈴木は7回途中から再登板した。3点を追い上げた9回2死。最後の打者安田が打ち取られる瞬間まで、逆転を信じてキャッチボールを続けた。

 06年に全国制覇した早大・斎藤佑樹投手(4年)も背負った名門の背番号1。「4年前のように優勝できなかったのは残念ですが、全員一丸でやった。大学で鍛え直したい」。悔しさをばねに、早大野球部で成長を続けるつもりだ。