<全国高校野球選手権:成田6-5北大津>◇17日◇3回戦

 ついにつかまった。北大津(滋賀)が成田(千葉)に逆転負けし、準優勝した01年近江以来となる滋賀県勢8強を逃した。宮崎裕也監督(48)が風ぼうから「ウナギイヌ」と命名した2年生エース岡本拓也は6回まで無失点。だが7回に逆転され、その後同点で迎えた9回には2死一、三塁で直球を左翼線に運ばれ、勝ち越しを許した。体重55キロと細身の変則右腕は「相手の気迫に負けた。せっかく追いついてもらったのに」とつぶやいた。

 10カ月前の悔しさがバネだった。今春センバツ出場がかかる昨年10月の近畿大会。1回戦で神戸国際大付に2点リードの9回2死から逆転サヨナラ負けした。チームはこの夏を見すえ、直後の同11月から科学トレーニングを初めて取り入れた。動画分析の専門家を招き、スーパースロー再生を利用して個々が欠点を克服した。岡本はひと冬で球速が10キロアップ。甲子園で躍進の原動力となった。

 2戦連続18安打の「びわこ大花火」打線も7安打どまり。それでも宮崎監督は「やるべきことはすべてやった結果」と受け入れた。3回に大会通算1300号の記念弾を放った山口は「夏に初めて甲子園で勝てた。優勝は後輩に託したい」と話した。2年前のセンバツも2勝しながら、8強を前に涙をのんだ。次こそ“壁”を越えたい。【大池和幸】