2人の「男」をグラウンドで体現した。巨人村田修一内野手(34)が、先制の3号3ランで〝豪快〟な一面を披露。7回無死二、三塁では、三塁からギャンブルスタート。ルールを守った上、ライン内側を走る〝繊細〟な走塁で決勝のホームに滑り込んだ。チームは3、4月を16勝12敗でフィニッシュ。ヤクルトが敗れ、単独首位に立った。村田の復調とともに、5月はさらに加速する。

 三塁走者の村田は、一点のみに集中した。同点の7回無死二、三塁、バットとボールが当たった瞬間、本塁へスタートを切った。ルール上、許される範囲のライン内側を走って、ホームにスライディング。三塁・高橋周の悪送球を誘って、決勝のホームを踏んだ。「(サインは)ギャンブルで。実松が素晴らしいボテボテのゴロを打ってくれた」と笑顔で振り返った。

 意外性のある“繊細”な一面をのぞかせた走塁だった。打った瞬間、ホームへ走るギャンブルスタートはスタートが命。コンマ数秒が勝負で、感性や集中力がカギを握るが最高のタイミングだった。うまかったのは走路の選択。高橋周の手元が狂った。原監督は「アウトになっても、(走者が)たまった状態が保てる。だから、攻撃的に。いいスタートでした」と評価。作戦とプレーがマッチした決勝点だった。

 「男・村田」の代名詞といえば、“豪快”な1発が筆頭に挙がる。この日も、4回2死一、二塁から豪快に先制の3号3ラン。今カード2本目のアーチを左中間席にぶち込んだ。「豪快と繊細の間」-。有名な小説のように、実は繊細さも「男」の隠された魅力。中学卒業までピアノを習って、通知表はオール5だった。絵美夫人によれば「魚はきれいに食べる」という。豪快な1発と好走塁は村田の全てだった。

 村田節も戻った。「(大田)泰示がいきなり3本打った。こっちは苦労して、苦労してやっているのに…。今日はそこが悔しいです」と笑った。坂本、阿部ら主力が抜ける中、4月を16勝12敗、単独首位で終えた。原監督は「方向を見失わずに戦った。満足できないが、乗り切った」と言った。「中軸を打つのが理想だし、目標。そこに戻れるように」と力を込めた村田の復調とともに、チームも上昇気流に乗る。【久保賢吾】

 ▼村田が4回2死一、二塁から先制3ラン。今季の村田は試合前まで走者を得点圏に置いた場面で18打数2安打(打率1割1分1厘)。特に走者2人以上では

 走  者 打-安

 一、二塁 4-0

 一、三塁 2-0

 二、三塁 5-0

 満  塁 3-0

 14打数無安打が続いていた。今季初殊勲安打が復調のきっかけになるか。