国内フリーエージェント(FA)権を保有するヤクルト畠山和洋内野手(33)が権利を行使せずに残留する決意を固めたことが1日、分かった。初めて得た権利に対し、他球団の評価を聞いてみたい考えも持っていた畠山だが、熟慮した結果、来季もヤクルトの一員としてセ・リーグ2連覇と、今季はあと1歩で逃した日本一を目指す結論に至った。

 畠山はFA権を行使しないことを決めた。「いろいろ考えた結果、残留しようと決めました」。日本シリーズの激闘から3日、ゆっくりと体を休める中で出した結論。「やっぱりヤクルトでやるのが一番かなって思いました」。そう言って、来季も、ヤクルトの一員として死力を尽くす構えを見せた。

 シーズン中から重ねてきた球団との残留交渉は、決して順調ではなかった。プロ野球選手として、初めて得た移籍できる権利に「他球団の話を聞いてみたい気持ちもある」と言っていた。畠山がFA宣言した場合に備えて、楽天が調査をしているとの情報も飛び交った。気持ちは揺れていた。

 2本塁打を放った日本シリーズ中も、球団との交渉は続いていた。残留に大きく気持ちが動いたのは第5戦に敗れ、日本一を逃した直後の交渉だった。「残留の結論を出せるかもしれない」と好感触を得た。当初は2年だった条件提示も3年になり、出来高の部分でも球団側の熱意を感じる内容になっていた。

 生え抜きで15年を過ごし若い選手が多いチームの中ではベテランの部類に入る。「年も上になってきて、やりやすいようにやらせてもらってるし、コーチ陣ともいい関係。施設は別として、ヤクルトが一番やりやすい環境なのは分かっている」と、残留を第一に考えてきた。畠山にとっても、FA宣言をしない結論を出せるのは幸せなことだった。

 今季は105打点を挙げ、打点王に輝いた。リーグ優勝に貢献できた。確かな手ごたえのある1年になった。首位打者・川端、トリプルスリーの山田の後ろを打った頼もしい存在が、来季もヤクルトにいる。リーグ連覇、打倒ソフトバンクに向けて再スタートを切るチームにとっても、この上ない朗報となる。