プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る15年」(球団別)。1軍出場全選手の成績表も掲載。

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ソフトバンク パ・リーグ1位 90勝49敗4分

相手、球場、昼夜関係なしに勝率6割以上

 工藤監督が就任したソフトバンクは90勝を挙げて2年連続優勝。異なる監督で連覇は43年巨人(藤本英→中島)86年西武(広岡→森)に次いで3度目だ。ビジターで昨年は勝率4割7分8厘と負け越したが、今季は貯金22の勝率6割5分7厘。ホームの6割3分8厘を上回る高勝率をマークした。パ・リーグ5球団に対してすべて勝率6割以上を記録し、交流戦も12勝6敗の勝率6割6分7厘。デーゲームで勝率6割9厘、ナイター(午後5時開始含む)は勝率6割6分7厘と、相手、球場、昼夜と関係なしに6割以上の高勝率を残した。

ソフトバンク打撃成績
ソフトバンク打撃成績
ソフトバンク投手成績
ソフトバンク投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


日本ハム パ・リーグ2位 79勝62敗2分

課題はあっさりすぎる初回の攻撃

 日本ハムは初回の攻撃があっさり。初回の打率は陽岱鋼2割1分3厘、西川1割9分7厘、田中1割9分2厘など、チーム全体で2割1分1厘しかない。本塁打も6本で、初回に挙げた得点が44点。延長を除いたイニング別得点は、初回が最も少なかった。2回以降の得点は優勝したソフトバンク(561点)より多い571点を記録したのに、初回はソフトバンクの90点に比べ半分以下で、パ・リーグ6球団の中で最少。44点のうち30点はホームゲームで初回表に得点したのは10試合で14点しかなかった。

日本ハム打撃成績
日本ハム打撃成績
日本ハム投手成績
日本ハム投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


ロッテ パ・リーグ3位 73勝69敗1分

投手も打者も「左対策」が必要

 ロッテは「左対策」が必要。右投手に対してはチーム打率2割6分2厘を記録したが、左投手には打率2割3分9厘。左投手と30打数以上対戦して打率3割超えは角中しかおらず、パ・リーグで対左腕の打率は楽天に次いで2番目に低かった。一方、投手陣は左打者が苦手。右打者へは被打率2割5分7厘も、左打者にはリーグで2番目に悪い被打率2割8分。パ・リーグ規定打席に到達したロッテ以外の左打者は12人いたが、そのうち8人はロッテ戦で打率3割以上。後藤(楽天)西川(日本ハム)森(西武)らロッテ戦以外では打率2割台の打者がロッテ相手には3割打った。

ロッテ打撃成績
ロッテ打撃成績
ロッテ投手成績
ロッテ投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


西武 パ・リーグ4位 69勝69敗5分

昼間は強いのにナイターの勝率はリーグ最下位

 西武は76~81年に6年連続で記録して以来となる2年連続Bクラス。デーゲームは33勝17敗、勝率6割6分と強かったが、ナイターで弱かった。午後5時開始の2試合を含め、ナイターは36勝52敗5分け、勝率4割9厘。デーゲームの勝率はソフトバンクの6割9厘を上回るリーグトップも、ナイターの勝率はリーグ最下位。中村(昼・316、夜・259)森(昼・318、夜・270)浅村(昼・290、夜・260)らナイターで打率の下がる主軸打者が多く、平均得点はデーゲームの5・22点に比べ、ナイターは3・98点と1点以上少なかった。

西武打撃成績
西武打撃成績
西武投手成績
西武投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


オリックス パ・リーグ5位 61勝80敗2分

課題は自慢の救援投手陣の立て直し

 オリックスは自慢の救援陣が崩れて5位。平野佳と佐藤達が活躍した昨年は救援投手の成績が23勝17敗、防御率2・49だったが、今年は14勝25敗、防御率3・85。ホールドが昨年の116から69に減った。先発投手の防御率3・45はリーグ2位も、救援投手の防御率はリーグ最低だった。得失点差を見ても、1~6回は得点の方が9点多いのに、7回以降は143得点に対し181失点と、失点の方が38点も多かった。救援投手が打たれた結果、逆転負けが昨年の24試合から35試合に増えた。8回に決勝点を許した黒星が11試合あるなど、7回以降に決勝点を奪われて28敗した。

オリックス打撃成績
オリックス打撃成績
オリックス投手成績
オリックス投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。


楽天 パ・リーグ6位 57勝83敗3分

課題は1番打者 打率2割2分は12球団最低

 13年に優勝した楽天は14、15年と最下位。優勝翌年に最下位へ転落したチームの順位は、60年大洋1位→6位→2位、78年ヤクルト1位→6位→2位、80近鉄1位→6位→3位、12年日本ハム1位→6位→3位、13年楽天1位→6位→6位。優勝翌年から連続最下位はプロ野球史上初めてだ。打線を固定できなかった。先発出場した野手が30人おり、そのうち16人は5つ以上の打順で出場。1番打者には7人を起用したが、7人合計の打率が2割2分。楽天以外の1番打者は2割7分以上が6球団、2割6分台が4球団、2割5分台が1球団で、1番打者の打率がこんなに低くては両リーグ最少得点も仕方がない。

楽天打撃成績
楽天打撃成績
楽天投手成績
楽天投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


ヤクルト セ・リーグ1位 76勝65敗2分

打撃3冠部門1、2位独占は史上初

 ヤクルトは01年以来、7度目のリーグ優勝。前年最下位から優勝は01年近鉄以来7度目。真中監督は1年目で、前年最下位チームを優勝させた新人監督は46年山本監督(グレートリング)75年古葉監督(広島)に次いで3人目だ。山田が本塁打、盗塁、出塁率、川端が打率、安打、畠山が打点と、セ・リーグの打撃タイトルをヤクルトで独占。この6部門を独占したチームは04年ダイエー以来6度目で、打率、本塁打、打点はリーグ2位もヤクルト選手。打撃3冠部門の1、2位を同一球団の選手が占めたのは初めてだった。

ヤクルト打撃成績
ヤクルト打撃成績
ヤクルト投手成績
ヤクルト投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


巨人 セ・リーグ2位 75勝67敗1分

打率2割7分以上ゼロは79年ぶり2度目

 4連覇を逃した巨人はチーム打率がリーグ最低の2割4分3厘。本塁打も昨年の144本から98本に減り、こちらはリーグ4位。リーグ最低打率は06年以来だが、打率と本塁打の両方がBクラスは93年以来になる。阿部と長野の15本塁打が最多で、規定打席以上の最高打率が坂本の2割6分9厘。巨人で20本塁打以上が不在は60年以来となり、チームトップが15本は55年(与那嶺13本)以来の少なさ。規定打席に到達して打率2割7分以上が1人もいないのは、リーグ戦初年度の36年秋(林の2割6分7厘が最高)に次いで79年ぶり2度目だった。

巨人打撃成績
巨人打撃成績
巨人投手成績
巨人投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


阪神 セ・リーグ3位 70勝71敗2分

珍記録 セで7度目の「最少得点で最多残塁」

 阪神の得点は昨年の599点から465点に減り、今季はリーグ最少。打率が昨年の2割6分4厘から2割4分7厘、本塁打も94本から78本に減ったが、最も悪くなったのが得点圏打率。こちらは昨年の2割7分から2割3分9厘と、3分以上も下がった。今季、得点圏で30打数以上あった14人のうち、得点圏打率が3割以上は上本(3割1分4厘)だけ。昨年は同ケースで3割以上が6人おり、チャンスに主力が打てなかった。好機をつぶした結果、2桁残塁が31試合あり、残塁はリーグ最多の1092。セ・リーグでは7度目となる「最少得点で最多残塁」を記録した。

阪神打撃成績
阪神打撃成績
阪神投手成績
阪神投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


広島 セ・リーグ4位 69勝71敗3分

週末は強かったのに…火曜からの3連戦が課題

 4位広島は週の前半と後半でまったく違うチームだった。曜日別の成績を出すと

 火~木曜日 23勝38敗2分

 金~日曜日 43勝32敗1分

 月曜日 3勝1敗

 週末の3連戦には強く、金~日曜の勝率5割7分3厘、月曜の勝率7割5分はリーグトップなのに、火~木曜の勝率3割7分7厘はリーグ最低。完封負けが阪神と並びリーグ最多の17度あったが、そのうち7度は水曜日。1安打完封負けで3位を逃した10月7日中日戦も水曜日だった。3位の昨年も火~木曜は30勝33敗と負け越しており、火曜から始まる3連戦が課題。

広島打撃成績
広島打撃成績
広島投手成績
広島投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多


中日 セ・リーグ5位 62勝77敗4分

94失策は人工芝のナゴヤドーム移転後最多

 中日は5位に終わり、68~70年以来の3年連続Bクラス。今年はミスが多かった。失策が昨年の75個から両リーグ最多の94個に増え、12捕逸もセ・リーグでは巨人と並び最多。7月9日阪神戦では桂がサヨナラ捕逸を記録した。セ・リーグ全体の失策は昨年の533個から484個に減ったのに、中日は19個も増えた。中日が94失策もしたのは、ナゴヤ球場時代の96年(100失策)以来、19年ぶり。本拠地が人工芝のナゴヤドームに移ってからは最多失策となった。無失策の試合は38勝34敗2分けに対し、失策を犯した試合は24勝43敗2分けで、失策が勝敗に直結した。

中日打撃成績
中日打撃成績
中日投手成績
中日投手成績

【注】点線より上、打者は規定打席数=443、投手は規定投球回数=143に到達。


DeNA セ・リーグ6位 62勝80敗1分

苦手延長戦 1勝11敗が最下位の原因

 DeNAは12年以来、24度目の最下位となり、DeNA自身が持つ最下位回数の最多記録を更新した。今季は5月16日に貯金が最多の11あり、42勝42敗1分けの首位で前半戦を終了。2桁貯金から最下位転落は初めてで、前半戦首位から最下位も初の屈辱だ。延長戦に1勝11敗と弱かった。延長戦の勝利は4月2日広島戦しかなく、同12日中日戦から11連敗。延長では合計26イニング攻撃して1点しか挙げられず、延長戦11連敗は95年近鉄に並ぶワースト記録。仮に、9回引き分けならば借金は18から8に減り、最下位を免れた。

DeNA打撃成績
DeNA打撃成績
DeNA投手成績
DeNA投手成績

【注】点線より上、投手は規定投球回数=143、打者は規定打席数=443に到達。白ヌキはリーグ最多