阪神が来季、本拠地の鳴尾浜球場と甲子園で行うウエスタン・リーグの主催全試合を生中継することが30日、分かった。球団公式動画配信サービス「虎テレ」でインターネット配信するもので、両球場での主催全試合中継は球団史上初めてだ。ファンの目で育成アシストをもくろむ掛布雅之2軍監督(60)にとっても大歓迎の試み。「超変革」は2軍にも及ぶ。

 金本新体制の逆襲を心待ちにする虎党に今年最後の朗報が届いた。来季、鳴尾浜と甲子園で行われるウエスタン・リーグの公式戦全試合がオンライン中継されることが判明した。ニューヨークにいても地球の裏側リオデジャネイロにいても、全世界で若虎の戦いぶりにライブで触れられる。

 球団は夏ごろからカメラの配置などを含めて、検討に入っていた。センターバックスクリーン付近から本塁を映すカメラ1台を固定で設置。打球を追うカメラも用意し、つぶさに戦況を追う。これまで2軍戦はCSか「虎テレ」での一部試合の中継に限られていたが、来季は一気に鳴尾浜と甲子園の全試合に拡大。「虎テレ」を通じて、一斉にインターネット配信される。球団首脳も「多くのファンに見ていただけるようになればいい。球団としても初めてになります」と話した。

 まさに「掛布テレビ」だろう。今オフから就任した掛布2軍監督の指導方針を後押しする試みなのだ。これまでも「選手はファンに見られることで緊張感が生まれ、成長できる。選手は10の目で見られるより100の目で見られた方が絶対に伸びる」と話してきた。11月には鳴尾浜での秋季キャンプで連日、サイン会を実施。その期間中、過去最多といえる、のべ5000人のファンが殺到した。

 掛布2軍監督は「君たちは1軍の戦力なんだよと。2軍じゃない」とも言い、2軍のコンプレックスを外そうと考えている。鳴尾浜の超満員だけでなく、テレビカメラの向こうに多くの虎党が見ていれば、より気持ちが引き締まる環境になる。さらに、1軍からは金本監督がいつでも目を光らせることが可能。まさにうってつけの演出だ。

 球界ではソフトバンクや楽天などが2軍戦を密着放送してきた。来年のウエスタン・リーグ日程が発表されるのは年明けだがチームの本拠地開幕戦から放送開始する予定だ。「虎テレ」はスマートフォンでも視聴可能。横田、陽川ら若虎に注目するファンは大歓迎だろう。チームを挙げて、チームスローガンの「超変革」を推し進めるなか、2軍も大きく変わっていく。

 ◆虎テレ スマホなどで阪神の1軍主催試合をライブで視聴できる球団公式動画配信サービス。2軍戦は今季8試合中継。キャンプや、引退会見の映像も配信。月額600円、1試合200円(いずれも税抜き)で試聴プランもある。