郷里の偉大な先輩のモットーを胸に、はい上がる。日本ハムの春季キャンプの1、2軍メンバー発表から一夜明けた18日、2軍スタートが決まったドラフト7位吉田侑樹投手(21=東海大)は巻き返しへ、ゆかりのあるキーワードを口にした。「雑草魂で頑張ります」。99年の流行語大賞にも選ばれた「雑草魂」は、レッドソックス上原を象徴する言葉だが「出身が一緒なんです」。ともに大阪・寝屋川市生まれ。吉田にとって上原は幼少期から憧れた、地元のヒーローだった。

 面識こそないが、縁は深い。小学生時代は地元の野球少年団「仁和寺パイレーツ」の一員として「上原浩治杯」に参加。決勝まで残れば本人と対面できたが、勝ち上がることは出来なかった。念願かなわずも、幼心に火が付いた。「この人を追い越したい」。憧れから目標へと変わった後に高校は上原の母校、東海大仰星へ進学。東海大を経て、先輩のようにプロの舞台にたどり着いた。

 狙う下克上へ環境も後押しする。2軍の春季キャンプ地、沖縄・国頭は東海大時代も春季キャンプで訪れていた。「日本ハムが帰った後に僕らが球場を使用していました。だから不安はないです」と、自信あり。例年、大卒や社会人ルーキーは国頭で行われる1、2軍合同の紅白戦が実戦デビューの舞台となってきた。今季は2月20日に予定されており、「まずはそこで、しっかり結果を残したい」と、意気込む。

 この日は2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で新人合同自主トレに参加。第3クールに入り、練習内容にも慣れてきたがおごりはない。「僕はこれまで、大した成績を残してきたわけではない。本当に雑草です」と、自負する。メジャーのクローザーまで成り上がった大先輩のように、身長187センチの長身右腕が不屈の精神で目標の開幕1軍を目指す。【木下大輔】