ヤマハ野球部を昨年限りで退部した戸狩聡希投手(26)が11日、埼玉・ロッテ浦和球場で行われた独立リーグ、ルートインBCリーグのトライアウトを受験。不合格に終わり、野球から離れる決意を示した。

 午後3時半過ぎの合格発表。戸狩の受験番号「T108」は、最後まで呼ばれることはなかった。戸狩は一瞬、残念そうな表情を見せたが、取材には吹っ切れたように話した。

 「仕方ないです。これで区切りがつきました。もう野球はしないと思います」

 常葉学園菊川で07年センバツ優勝、08年夏の甲子園準優勝に貢献した左腕は、知人からこのトライアウト実施を聞き、日本プロ野球(NPB)につながる「最後のチャンス」と位置付けていた。だが、本格的な投球練習は約1週間。ヤマハの同僚たちにもほとんど打ち明けずに臨んだ舞台で、悩まされた左ひじの痛みを忘れて投げ抜いた。

 実技試験のフリー打撃では、打者3人に二ゴロ、四球、空振り三振。最速130キロと全盛期に程遠かったが、「こんなに投げられるとは思わなかった。納得しています」と笑顔を見せた。現在もヤマハの社員だが、今後については「まだ分からないです」と話した。【鈴木正章】