阪神が「糸井不在」のピンチを、一丸で救った。0-0の2回、3四球で1死満塁となった絶好のチャンス。8番の新人糸原が先制点をもぎ取った。ソフトバンク松本裕の低めの直球をフルスイング。強烈な打球は、右翼線に転がる2点二塁打になった。さらに2死後、上本が3ボールから4球目の直球を左翼線へ2点二塁打。序盤の一挙4得点で主導権を握った。

 糸原 自分の仕事をしようと思っていた。絶対に勝ちたいという気持ちでした。先取点をほしかったところ。完璧でした!!

 上本 積極的にいこうと考えていたのがいい結果につながったと思います。

 非常事態だった。試合前練習に糸井の姿はなかった。前日左太ももを痛め、治療のため遅れて球場入り。開幕から当たり前のようにいた男が、移籍後57試合目で初めてスタメンを外れた。金本監督が代役1番を任せたのは上本。遊撃には前日までの北條に代わって、3試合ぶりに糸原を起用した。チームのピンチをチャンスに変えた糸原に、指揮官も目尻を下げた。

 金本監督 慣れないショートで出ていた疲労感とか毎日試合に出るとかはルーキーは経験していないからね。それでちょっと休ませて、北條がダメで。チャンスをよくモノにした。

 満塁での打率はリーグ2位タイの5割、9打点と勝負強さが光る。玄人好みの堅実なしぶとさで首脳陣の信頼度は増している。首位広島が楽天に敗れたため、2ゲーム差に縮まった。今日11日も勝てば、交流戦4カード連続の勝ち越しが決まる。【桝井聡】