巨人に“新星”が加わった。FAで加入した山口俊投手(29)が衝撃のデビューだ。「日本生命セ・パ交流戦」ソフトバンク戦(東京ドーム)でDeNAから移籍後初先発。強力打線を6回まで無安打無得点8三振に封じ、102球で新天地初勝利を挙げた。故障で出遅れ、初先発が交流戦にまでずれ込んだ悔しさを晴らす快投。球団史上初の“ノーヒットノーラン”継投をけん引し、チームを5月24日以来の連勝、6カードぶりの勝ち越しに導いた。

 我慢はもう十分だ。涙腺はもろくも決壊した。山口俊が男泣きした。主将の坂本勇に迎えられるようにお立ち台に上がった。ようやくたどり着いた1軍マウンドで初登板初勝利。「すごく長かったです。勝ててほっとしています…」。天を仰ぎしばらく声すら出せない。「FAで来て、すごく迷惑をかけている。この1勝でジャイアンツの一員として頑張っていきたい」と大歓声にかき消されそうになりながら絞り出した。

 体ごとぶつかった。無安打でこぎつけた6回。四球と犠打で1死二塁。2死後、川崎への2球目の投球動作の途中で右手が足に当たり、ボールがこぼれ落ちた。ボークの判定で2死三塁。四球で一、三塁とされたが、今宮を間一髪の二ゴロに打ち取り、脱した。「見ての通りスピードも落ちていた。アップアップでした」。直後に坂本勇の決勝弾で移籍後初のウイニングボールが転がり込んできた。