巨人が最悪の結末で自力優勝が早くも消滅した。勝利まであと1人だった。9回2死一塁。守護神カミネロが代打乙坂に高め直球を右翼線に痛打され、一打同点の二、三塁のピンチを招く。荒れ気味だったスライダーで倉本に死球をぶつけ、持ち球として使いにくくなった。続く先頭打者弾を放っていた桑原で悲劇が待っていた。145キロのカットボールが甘く入り、弾丸ライナーで左翼席へ。グランドスラムで試合がぶっ壊れた。

 高橋監督は助っ人に「そういう役割だから、こういう形はチームとして当然。何とか(8回に)ひっくり返したから逃げ切りたかった」と振り返った。チーム事情で抹消期間がありながらもリーグ3位の15セーブを挙げている。必勝を期した継投だったが時折、不安定さが顔をのぞかせる。セーブ機会失敗は2度目だが、最初は4月13日の広島戦で1点リードを守れず、6失点と大炎上した。その後は走者を出しながらも危機を脱出してきたが、この日は歯止めが利かなかった。

 大黒柱の阿部が右ひざ痛から復帰した一戦。1点を追う8回に2死満塁から村田が走者一掃の逆転適時二塁打を放ち、最高のムードが漂っていた。それだけに今後の戦意に影響しかねない負け方だった。

 折り返しの72試合目。自力優勝が消え、3連敗となり、借金はまた10となった。指揮官は「(自力優勝消滅は)前もって聞いていたので分かっていたこと。ただ明日勝てば状況も変わってくるわけだから」と今後を見据えた。ジリジリとペナントの土俵際に押し込まれている。【広重竜太郎】

 ▼巨人の自力Vが消滅した。巨人は残り71試合に全勝した場合、102勝41敗で勝率7割1分3厘。広島は残り70試合のうち巨人戦14試合に敗れても、他カードで全勝すれば102勝40敗1分け、勝率7割1分8厘となり、巨人は広島を上回れないため。巨人が72試合以下で自力V消滅は、11年の67試合以来、6年ぶり。96年に7月6日、70試合目で自力Vが消滅しながら逆転優勝した巨人だが、この時は首位広島から11・5ゲーム差。現在、広島とは今季最大の15ゲーム差。逆転Vの最大差は63年西鉄の14・5ゲームで、15ゲーム差以上の逆転Vは過去にない。