西武が6月28日に急逝した森慎二投手コーチに、弔いの白星を届けた。

 天国へ勝利のおかわり弾を届けた。西武中村がバックスクリーンの右左にたたき込む今季3度目のマルチアーチを決めた。1点ビハインドの3回に16号3ラン。2点リードの7回には追加点となる17号ソロをライナーで運んだ。「勝てたことが一番なんで」と淡々と喜びを表したが、胸には期する思いがあった。

 6月30日のオリックス戦前。森投手コーチとの思い出をかみしめるように振り返った。「本当に面倒見のいい、やさしい人でした」。現役時代ともにプレーした先輩。入団2年目の2軍キャンプ中、夕食に誘われた。「投手と野手でしたけど声をかけてもらって。そこから、いろんな話をしましたね」。気兼ねなく相談もできる兄貴分。コーチとして接するようになってからも、後輩たちの信頼の大きさを実感していた。「みんなから慕われているな、っていうのは、周りから見ていても分かりましたから」とうなずいた。

 悲報からここまで、追悼の白星を届けられていなかった。痛感していた4番としての責任。今日4日は告別式に参列する。「負けて明日を迎えるのがホント嫌だったので、勝ててよかった」。手元に戻った7回のホームラン球は森コーチのひつぎに供える。感謝の思いを、しっかりとふた振りに込めた。