「メンタリスト和基」のおかげ? で劇的な1本が生まれた。楽天島内宏明外野手(27)が、オリックス11回戦(Koboパーク宮城)の延長10回にサヨナラ打を放った。強靱(きょうじん)なメンタルを持っているという後輩の田中和基外野手(22)に影響を受け、凡退しても気にしない。5打席目にマークした初安打でヒーローとなった。前夜の延長負けを引きずらない強さを見せた。

 グラウンド上で大量の水をかけられても、ヒーローインタビューでも、島内は笑顔だった。「後輩の田中からメンタルの強さを学んで、凡退してもミスしても、落ち込まないようにしようと決めて」。無安打のまま迎えた第5打席は3-3の延長10回2死二塁で巡ってきた。表情に硬さはない。リラックスした表情で、ボールを見極めた。フルカウントからの9球目、低めフォークを捉え、右前にサヨナラ打を放った。「ヒット1本しか打っていないのに、ヒーローですみません」と笑った。

 プライベートでも仲の良い田中の姿からヒントを得た。尊敬の念も込めて後輩をあえて「田中さん」と呼ぶ。「彼は新人なのに、ミスをしても全く落ち込まない。どれだけ凡退しても、笑顔でいる。いい意味でですよ。そういう前向きな姿勢というか、ずぶとさは自分にないもの」。そうしたメンタル面を取り込むことで、緊迫した場面でも肩の力が抜け、最高のパフォーマンスにつながっている。「本当に今日は疲れた。みんなの疲れも考慮して、何とか」と気を配る余裕まであった。

 言葉通り、激闘続きだ。前夜は日本ハムに延長11回の末、サヨナラ負けを喫した。サブちゃんこと、福山が37試合目にして初めて自責点を許したが、そんな悪夢を払拭(ふっしょく)するかのようにこの日は、1回を3者凡退に切り抜けた。札幌から移動し、そのまま迎えた後半戦初のホームゲーム。2戦連続で延長戦となったが、強い精神力を持った楽天ナインが、疲労など感じさせない戦いをファンに届けた。【栗田尚樹】