淡々とした敗戦の中で、唯一の光明だった。日本ハム白村明弘投手(25)が、プロ初先発で可能性を広げた。未知の領域に突入した4回も、真っすぐは走っていた。先頭浅村を145キロ直球で、4番メヒアも147キロ直球でバットに空を切らせた。2者連続空振り三振。この回限りで降板となり、4回を3安打3失点。「めちゃくちゃ悪い感じではなかった」と、手応えを感じた。

 急ピッチの調整で迎えた舞台だった。4日西武戦は中継ぎで3回1/3を無失点。その後2軍で先発調整を進めたが、先発での登板は18日イースタン・リーグDeNA戦(鎌ケ谷)での1イニングのみ。同日に、この日の先発が内定し、中3日となることを考慮したためだった。準備期間が少ない中で自己最多73球を投げ、先発投手としてのポテンシャルは示した。

 もちろん課題もある。失点した初回は、2死から四球を与えてメヒアに先制2ランを献上。「2アウトを取った後の四球を出したのはいけない」と反省したが、栗山監督は「もったいない部分もあったけど、可能性はすごくある」と、一定の評価を与えた。次回登板は未定だが、この日見せた新たな一面はチームにとっても起用の幅が広がる好材料だ。西武戦7連敗となり、早くも今季の負け越しが決まるなど状況は好転しないが、4年目右腕が一筋の光を放った。【木下大輔】

 ▼日本ハムが西武に7連敗、04年の北海道移転後では09年9月8日~10月5日に並ぶ対西武戦ワーストタイとなった(シーズンまたぎでは05年8月24日~06年4月9日に8連敗)。今季これで西武には2勝13敗となり、勝率1割3分3厘、防御率5・84ともに対戦カード別のワースト。