阪神金本監督が攻めの采配で窮地を脱した。敵地マツダスタジアムでは5連敗中で、この日を迎えていた。嫌な流れを打開するため、早い仕掛けを見せた。

 5回には2三振の5番中谷に見切りをつけ、伊藤隼を代打に送った。8回、得点圏に走者を置いた場面で、代打大山を送り、勝負をかけた。9回表無死一塁の場面では西岡にバントの指示を出さず、強攻策を取った。

 「この球場は流れがある。勝負にいく時はガンガン、いかないと。9回にバントさせなかったのも、一気にいくぞ、と」

 いずれも結果には結びつかなかったが、指揮官の気迫が土壇場の逆転劇を生んだ。

 自力優勝の可能性を残すには、勝つしかなかった。球場は赤に染まり、スタジアム全体で盛り上がる。それでも守りに入る選択肢はなかった。

 「この球場で逆転勝ちは去年からあまり見かけない。そういう中でよくやってくれた。しぶとく最後まで粘ってね」

 引き分けか負けで、自力優勝の可能性が消滅する状況は変わらない。綱渡りの戦いが続く。