ヤクルト星知弥投手(23)が5回1/3、7安打3失点で神宮初勝利を挙げた。「6月末から勝っていなかったんでホッとしている部分はあります」。本拠地初白星を喜ぶより、6月28日以来勝ちがついたという安心感がにじんだ。

 苦しんだ。4点の援護をもらった直後の3回、変化球が定まらない。ストライクを奪いにいった直球を打たれるなど、5安打されて3失点。6回も四球を与えて1死満塁として降板。「野手の失策を僕がカバーできなかったし、イニングの途中で降りるのは悔しい」と後続に命運を託し、ベンチの最前列で声を張った。

 持っている男だ。7月26日の中日戦。5回10失点し敗戦は濃厚だった。だが打線が爆発、歴史的な大逆転勝利で黒星が消えた。続く3日の巨人戦も4回5失点でKOされるも打線が中盤以降奮起。負けなかった。8月上旬に星の状態を問われた真中監督は「そういう展開になるってことは力がないってこと。でも負けないということは(運を)持ってるのか」とうなるほど、不思議な運があった。

 ピンチを中継ぎ陣がしのぎ、明大時代から慣れ親しんだ神宮でようやくつかんだ初勝利。星は「1勝で満足せず、次の登板に向けて調整していきたい」と気を引き締め、次戦の快投を誓った。【島根純】