乱闘騒ぎにも揺るがないのが今のソフトバンク東浜巨投手(27)だ。2回だった。内角高めにのけぞったアマダーが激高し向かってきた。一塁手福田が間に入ると両軍入り乱れてアマダーを抑える騒動に。

 東浜 (乱闘騒ぎは)初めて。ちょっとビックリして、動揺したが後続を取れてよかった。お互い真剣勝負で前のめりだった相手の気持ちも分かるが負けるわけにはいかない。

 グラウンドに飛び出した工藤監督の「強い気持ちで投げなさい。内角も絶対投げなさい」とのアドバイスも生かし、7回途中無失点と力投。前回登板の8月25日ロッテ戦は4回5失点KOを食らったが、初回から直球は最速148キロを計測するなど、飛ばして0行進。6回は一塁走者のオコエをけん制で誘い出すなど、走者を背負いつつ冷静にアウトを重ねていった。

 ベンチの継投もピタリとはまった。1点リードの7回2死二塁で工藤監督は左腕モイネロを投入。指揮官は「飛ばしていたので、あそこの交代はしょうがない。石橋をたたくところはたたいて」とまだ99球だった勝ち頭東浜から、迷わず強力リリーフ陣に継投し、楽天の反撃を許さなかった。

 8回は61試合目の岩崎、9回は守護神サファテと今季お決まりのパターンで締め、両リーグ最速の80勝。優勝マジックを「16」で今季初点灯させた。

 工藤監督 それはみなさんで楽しんでください。明日、また勝てるように全力を尽くします。

 昨季11・5ゲーム差を逆転されV逸した悔しさがあるだけにゴールテープを切るまでは慎重な姿勢を崩さない。東浜は5年目で初めてシーズンの規定投球回数をクリアし、リーグ単独トップの14勝目。頼れる先発の柱に、強力救援陣。2年ぶりのリーグ制覇へ、役者はそろっている。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンクにマジック16が点灯した。楽天は残り30試合に全勝した場合、94勝47敗2分けで勝率6割6分7厘。ソフトバンクは楽天戦6試合に敗れても、他カードで16勝すれば96勝47敗、勝率6割7分1厘となり、楽天を上回る。すでに2位西武の自力Vは消滅しており、これで2位以下の5チームに自力Vがなくなり、マジック16が出た。現日程で最短Vは13日。