広島の4番松山竜平外野手(31)が、特大の1発で流れを引き寄せた。2点を追う7回、ナゴヤドームの4階席に飛び込む12号2ランで同点に追いつくと、2死一塁からは岩本がつなぎ、西川がしぶとく二塁内野安打。代打攻勢で勝負を決め、今季2度目の9連勝で、試合終了時点でマジックを5に減らした。

 松山は中日2番手岩瀬の内角スライダーに反応した。思い切り振り抜いたバットを最後は豪快に放り投げた。「完璧過ぎた。真っすぐを狙っていたけど、肩口からのスライダーも意識していた。しっかり反応できた」「キャリア最高の飛距離」と振り返ったアーチが反撃の号砲となった。

 9月に入り、全試合で4番を任されている。34打数18安打で打率5割2分9厘、3本塁打、15打点。左投手も苦にせず、負けなしの9連勝に大きく貢献する。「プレッシャーはないし、楽にやれている。4番は誠也。それはずっと変わらない」。あくまで「代役」と自認する。重圧をはねのける精神力もある。グラブや帽子に記す「ENJOY!」の言葉。2軍暮らしが長引き、クビも覚悟した12年から「野球を楽しむ」ことを意識。不思議と結果がついてきた。

 松山をマツコと呼ぶ緒方監督も4番の働きを認める。「すごい本塁打だったね。絶好調だね」。明日12日からのDeNA3連戦、16日からのヤクルト2連戦は本拠地試合。「いい試合が続いている。早く(優勝を)決めたい気持ちはある」。マツダスタジアムでの初胴上げへ、頼れる「4番目の打者」が、チームを引っ張っていく。【前原淳】