“CSファイナル前哨戦”で楽天がソフトバンク千賀をKOした。ウィーラーが3回1死一、二塁、鋭い振りでスライダーを左翼テラス席へ運んだ。球団史上外国人初となる30号の大台。前夜は自身の失策から逆転負けを許していた。「昨日負けたので何とか挽回したかったんだ。すごく気分がいい」と喜んだ。

 大技に小技も機能した。1回の先制点を筆頭に3度の犠打がすべて得点につながった。梨田監督が「今まで打線が良いときは、バントしなかった」と言うように基本はヒッティングを選択してきた。だが7月後半以降の失速を経て、1点をもぎ取る野球と両立。3連戦を勝ち越し、4月22日以来2度目となるソフトバンクから2ケタ得点を挙げた。

 24日に3位以上とCSファーストステージ進出が決定。ファイナルに進めば対戦する王者に、嫌な印象を植え付けた意味は大きい。前夜8月9日以来の16号アーチを描いた茂木も定位置「1番」に復帰。通算対戦打率3割5分7厘の“千賀キラー”として先制のホームを踏み、2回2死二塁ではフェンス直撃二塁打で3点目を追加した。「今までファウルになっていたものが前に飛んだ」と復活の手応えは確かだ。

 主力打者に加えて美馬も復調し、投打がかみ合っての大勝。2位を争う西武とは10月2、3日に敵地2連戦を残す。指揮官は「直接対決(終了時点)で2ゲーム差以内にしないとね」と逆転浮上をあきらめない。西武の試合がない日の1勝で2・5ゲーム差。じわじわと詰めていく。【鎌田良美】

 ▼ウィーラーが3回に30号本塁打。楽天でシーズン30本塁打以上は、07、09年に記録した山崎武以来2人目(3度目)。また通算本塁打は71本で、チームの外国人選手ではフェルナンデスと並ぶ最多タイとなった。