投打のかみ合った楽天がソフトバンクに10-2で大勝した。美馬学投手(31)が7回を無失点に抑え、キャリアハイの11勝目をマーク。三塁を踏ませぬ快投で自身の連続無失点イニングを16に伸ばした。打線の大量援護もあり、クライマックスシリーズ(CS)でファイナルステージに進めば対戦する王者相手に3連戦を勝ち越し。2位を争う西武との差は2・5ゲームに縮まった。

 「10勝の壁」を乗り越えた美馬は敵なしだった。早々と優勝を決めた強打のソフトバンクに、低く、強い球を投げ込み続けた。唯一連打を食らった7回1死一、二塁では、前日決勝打を放った福田を武器のシュートで投ゴロに。自ら打球を処理して併殺に仕留め、役目を終えた。

 美馬 ちょっと余裕ができたのか、うまく駆け引きできたのか。相手が振り切れていない球が多くて、自信になったかな。

 5安打6奪三振。危なげない88球で三塁を踏ませず、自己最多の11勝目を挙げた。日本ハムを完封した19日に続いて2試合連続で与四球はゼロ。16イニング連続無失点となり、これまで休養を多めに与えてきた梨田監督は「なんだ、中5日の方がええんやね。やっと気がついた」と冗談めかして笑った。

 ここからが“ポストシーズン男”の本領発揮だ。チームが創設以来初めて日本一に輝いた4年前。美馬はCSファイナルのロッテ戦で完封、巨人との日本シリーズでも第3戦と第7戦で0封を継続してMVPに輝いた。同監督は「2013年もCSと日本シリーズだけ頑張ったというね(笑い)。ちょっとお盆休みが長かったけど、この大事なところで調子を上げてほしい」と期待した。

 8月5日に9勝目を挙げてから4試合、勝ち星に恵まれなかった。昨季も9勝で足踏みしたままシーズンを終えた。連敗中は、友人知人も気を使って連絡をよこさなかった。「前回勝って、すごく気持ちが楽になりましたね。昨日則本がああいう形(7回逆転負け)だったので、今日も何とか勝ちたかった」。つき物が落ちたように、晴れやかな表情でマウンドに上がれた。

 24日にCS進出は決まったが、まだチームは2位を諦めていない。「2位と3位じゃ全然違う。ホームでCSを迎えられるように頑張りたい」。2位浮上にも、CSファイナル、日本シリーズへ続く花道にも、美馬の復調が大きなカギを握っている。【鎌田良美】