広島がシーズンの全日程を終えた。1日は敗れたものの、88勝51敗4引き分けで勝率は昨季の6割3分1厘を上回る6割3分3厘となり、球団史上最高をマーク。田中広輔内野手(28)が遊撃手としては球団史上初となる2年連続のフルイニング出場達成を4安打で飾った。緒方孝市監督(48)は18日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに向けて「1日を大切にする」と語った。

 打った瞬間に確信した。全力疾走の田中がバットを放り投げて“確信歩き”だ。一塁を回ったところでスタンドインを確認すると、右手で拳を握った。2点を追う5回2死一塁。カウント2-2から真ん中高めの直球をたたいた。「久しぶりにああいう打球が打てた。いいポイントでしっかりとらえることが出来ました」と今季8号を喜んだ。

 2打席目を除いて安打を重ね、今季最終戦で4安打2打点の活躍。昨季と同じ679打席に立ち、打率を2割6分5厘から2割9分まで上げた。投手陣が打たれて敗戦となったが、最後まで集中力は切れず「点差関係なく打席に入れた」と振り返った。盗塁も決め、35盗塁で盗塁王は当確ランプ。リードオフマンとしてチームを支え、さらに球団初の勲章も手に入れた。

 昨季から2年連続でフルイニング出場を果たした。遊撃手に限れば、球団では初だ。負担が大きいポジションだが「終わってみればという感じ。達成感はないです。ただ、きついときもあったけど、1年間戦うことが出来た」と謙虚に語った。そして、CSを見据え「もう1回練習して、しっかり調整したい」と意気込んだ。

 指揮官も先を見据えた。チームは今日2日から2日間の休養を挟み、CS、日本シリーズへと再スタートを切る。18日まで期間が空くが、練習試合、実戦練習でカバー。「時間がありそうで、そんなに余裕はない。1日1日の練習で、確認事項を大切にしながら、CSに向かっていきたい」と前を見つめた。昨季CSで打率8割3分3厘をマークしMVPとなった田中も「時間があるのでしっかり準備をしたい」。次なる目標に向かい、緒方カープが動きだす。リードオフマンが引っ張り、チーム一丸で昨季の忘れ物をとりに行く。【池本泰尚】