清宮くん、キミを1位で指名します! 阪神が2日、高校最多111本塁打を誇る早実・清宮幸太郎内野手(3年)と東京都内で面談した。球団はすでに26日のドラフト会議での1位指名を公表しており、この日は佐野アマスカウト統括らが清宮本人に直接、明確な意思を伝えた。他球団に先んじた熱烈なラブコールを続け、大願成就を目指す。

 逃げも隠れもしない。堂々の直球勝負だ。虎は清宮本人に向けて、あらためて明確な意思を投げ込んだ。14時45分に佐野アマスカウト統括、畑山チーフスカウト、永吉ディレクターの3人が面談へ。15時42分にそろって会場を後にすると、佐野アマスカウト統括は駆け寄る数十人の報道陣に面談内容の一端を明かした。

 「1位で指名させていただきます、とお伝えしました」

 面談した10球団のうち、8番目での登場。清宮、ラグビー・ヤマハ発動機で監督を務める父克幸氏、母幸世さん、早実の国定野球部長を相手に、王道スタイルを貫いた。清宮がプロ入りを表明した9月22日、阪神はすぐさまドラフト1位指名を公表。四藤球団社長が「清宮君はずばぬけた存在。4番、大砲はうちの大きな補強ポイント」と表現すれば、金本監督も「木のバットであれだけ飛ばすのは、なかなかいない」と絶賛してきた。そんな揺るぎないラブコールの数々を、面と向かって訴えかけた形だ。

 約30分間の面談では持参した資料も使い、球団の育成方針についても説明したという。佐野アマスカウト統括は「うちは育成という中で、こういう形でやっています、とね」と振り返った。虎は「超変革」を掲げた金本監督のもと、オフには若手選手に筋力アップのノルマを課し、1年間を通して妥協なき猛練習を積ませている。厳しく成長を促す指導を求める清宮にとって過不足のない環境だと、熱くプレゼンテーションしたとみられる。金本監督就任後は若手を積極的に起用してきたことも、清宮にはプラス材料に映るはずだ。

 清宮は将来的なメジャー挑戦の意思を明らかにしている。この日は各球団ともポスティングシステムについての話題は出なかったもようだが、阪神はすでにプロ入り後の動向に応じて、柔軟に対応する姿勢を見せている。3年連続で野手1位指名に踏み切る不退転の覚悟は、今回あらためて清宮サイドにも伝わったことだろう。アピール合戦では先手先手を打ち続けた。ドラフト会議は26日開催。あとは交渉権獲得を祈るのみだ。【佐井陽介】

 ◆金本監督の若手積極起用 監督就任後から「超変革」を掲げ、若手を次々に起用。16年は開幕戦で新人の高山、3年目の横田で1、2番を組んだ。4年目北條にはシーズン途中から不振の鳥谷に代わり遊撃を任せた。育成契約だった原口を支配下登録した4月27日に即1軍で起用、初安打も放った。5月には月間MVP獲得、球宴にも出場するなどシンデレラボーイとなった。昨季は1軍初出場選手が11人と多くの若手にチャンスを与えた。今季も、新人大山や糸原をスタメン起用するなどで活性化。7年目中谷はここまで20本塁打をマーク、長打力を花開かせた。ドラフト2位の小野は初勝利まで13試合かかったが、我慢強く使い続けた。