藤浪、行くぞ広島戦! 阪神藤浪晋太郎投手(23)が、広島とのCSファイナルステージで先発する可能性が12日、急浮上した。みやざきフェニックス・リーグの西武戦(南郷)に先発し、7回11奪三振で1安打無失点。2軍で2試合連続結果を残し、首脳陣の評価を上げさせた。今季3勝止まりの若き右腕がポストシーズンでリベンジを期し、リーグ2位からの下克上日本一を導きにいく。

 救世主になるべく、宮崎の地から吉報を届けた。藤浪が、CSファイナルステージ広島戦の先発に急浮上した。

 この日は、みやざきフェニックス・リーグの西武戦で先発。7回11奪三振、1安打無失点と圧倒的なピッチングをみせた。「バランス自体はよかった。(感覚は)決して悪くなかった。カウントを作って追い込んだら、決め球があるので、まずは(カウントを)作れるようにしたい」。最速は153キロをマーク。ゆったりとしたフォームで力みを感じさせなかった。絶妙なコースに変化球が決まり、西武打線を手玉に取った。

 課題だった右打者への内角球も、思い切って投げ込んだ。6回2死で右打者に死球を与えたが、次打者を見逃し三振に仕留め、納得の表情でマウンドを降りた。103球での快投も「ファームですし、結果がどうこうではない」と冷静。だが、その表情には自信を取り戻した充実感がにじみ出ていた。

 投球を見守った高橋2軍投手コーチは「ボールの質がよかった。あれだけ三振が取れたのは(打者が)手の出せないようなボールだという解釈になる」と説明。続けて「1軍の戦力の1人として見てもらっている。(ポストシーズンの)枠に入れる投手だと思う」と太鼓判を押した。山田2軍監督代行も「野球を楽しんでいるように見えた。今日の投球を自信にしてほしい。(1軍に)いつ呼ばれるか分からないからね」と、今も1軍昇格の有力候補であることを示唆した。

 前回登板した9月28日のウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)では5回4安打1失点と試合を作り、掛布2軍監督のラストゲームを白星で飾った。2試合連続の好投で一気に首脳陣の評価を高め、CSファイナルステージに進出した際の先発候補に名乗りを上げた形だ。

 今季のレギュラーシーズンは不安定な投球が続き、まさかの3勝どまり。このまま17年を終えるわけにはいかない。藤浪の意地が、眠れる潜在能力を呼び起こした。虎の下克上物語に、背番号19が再登場するかもしれない。【真柴健】

 ◆藤浪の4度目2軍降格後 9月12日の巨人戦(甲子園)に先発し、3回1/3で4安打4失点。4回に死球から崩れて降板し、翌日13日に今季4度目の1軍登録を抹消された。降格後初登板した同21日ウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)では救援登板し、4イニングで96球と安定感を欠いた。掛布2軍監督のラスト采配となった同28日の同広島戦(甲子園)は先発で5回1失点。155キロの速球でエルドレッドを三振に取り、課題の四球も1個と本領を発揮した。